音読は記憶に効くのか?まず結論から
はい、効きます。声に出して読んだ情報は、黙読した情報よりもよく記憶に残ることが、繰り返し確かめられています。心理学者が産出効果と呼ぶ現象です。単語リストを使った古典的な実験では、音読した単語は黙読した単語よりも、再認される(見覚えがあると正しく判断される)割合がおよそ10〜20パーセントポイント高くなります。この差は、1週間後のテストでも、まとまった段落の文章を使った場合でも保たれていました。
ただし、注意点が2つあり、こちらは「効く」という結論そのものよりも重要です。1つ目は、伸びるのは記憶だということです。2024年の一連の実験では、音読で記憶問題の点数は上がりましたが、理解問題の点数が確実に上がることはありませんでした。2つ目は、使う箇所を絞ったときに最もよく効くということです。効果は一部の内容を残りから目立たせることで生まれるので、章をまるごと音読すると薄まってしまいます。
つまり音読は、狙いを定めて使う道具です。お金もかからず、アプリもいらず、ハイライトとも自然に組み合わせられます。大事な箇所に印をつけたら、その箇所だけを自分の声で読み上げればよいのです。
産出効果とは?
産出効果とは、学習中に自分で産出した内容(声に出す、口だけ動かす、書く、タイプする)が、黙読しただけの内容よりもよく記憶されることを指します。名づけたのは、ウォータールー大学の Colin MacLeod らです。2010年に Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition に発表した、8つの再認実験を報告する論文の中で、この名前を使いました。
考え方そのものは、名前よりずっと古くからありました。1917年、心理学者の Arthur Gates は、参加者たちが「学習材料を正確に発音する練習が、学習の助けになったと報告した」と記しています。1972年には、Hopkins と Edwards が単語リストを使ってこの効果を確かめました。ところがその後、MacLeod と Glen Bodner が2017年のレビューで書いているように、この効果は何十年にもわたって「ほとんど注目されなかった」のです。そのあいだに、生成効果のような関連する発見は、記憶研究の定番になっていきました。2人の説明はこうです。「この効果が名を上げるには、ただ名前が必要だっただけなのかもしれない」。実際、名前がつくと、2017年までに少なくとも40本の論文が続き、その中には Canadian Journal of Experimental Psychology の特集号も含まれていました。
典型的な実験はシンプルです。画面に単語が1つずつ、2色のどちらかで表示されます。青なら声に出して読み、白なら黙って読みます。そのあと参加者は、新しい単語が混ざったリストの中から、学習した単語を選び出します。すると、声に出した単語のほうがよく再認されるのです。
このタイミングには、ちょっとした皮肉があります。歴史の大半を通じて、人は声に出して読むのが当たり前でした。この話は読書はずっとソーシャルだったで紹介しています。科学がその記憶への効果に名前をつけたのは、黙読が当たり前になってから、ずっとあとのことだったのです。
声に出すと記憶に残る理由
最も有力な説明は示差性、つまり記憶の中でほかの情報から際立っていることです。ある行を音読すると、その記憶には、黙読では得られない特徴が加わります。話すという体の動き、言葉の響き、そしてその声が自分のものだという事実です。Noah Forrin と Colin MacLeod (2018) は、声に出すことが役立つのは「運動(発話)行為と、固有で自己参照的な聴覚入力という、2つの示差的な要素を伴うから」だと述べています。テストのときには、その行を口にしたことを思い出せること自体が、それを学習した証拠になります。研究者はこの近道を、「声に出して言ったのを覚えているなら、それは学習したものに違いない」とまとめています。
ほかにも、この説明を裏づける結果がいくつもあります。
- 産出は、項目ごとに固有でなければならない。 MacLeod の2010年の実験では、声に出す印のついた項目のすべてで同じ単語(「はい」)を言っても、効果はありませんでした。一方、一つ一つの単語を、音を出さずに口だけ動かして言うと効果があり、再認は黙読より約18パーセントポイント高くなりました。
- 対比が大切。 この効果が最も大きくなるのは、一部の項目を音読し、残りを黙読する「混合リスト」です。あるグループがすべてを音読し、別のグループがすべてを黙読する場合については、Jonathan Fawcett による2013年のメタ分析が、中程度の再認の向上を見いだしています。ただし MacLeod と Bodner は、これを混合リストでの効果より「著しく小さい」と評しています。自由再生(手がかりなしで思い出す)のテストでは、このグループ間の効果は一貫して見られません。文章全体については、まだ答えが出ていません。MacLeod と Bodner は2017年に、「文章全体を音読することで記憶が有利になるのかどうかも、私たちにはわかっていない」と書いています。
- 少数であることも大切。 Michal Icht らによる2014年の小規模な研究(条件ごとに20人)では、単語リストの20%だけを音読すると、自由再生での差が26パーセントポイント(46%対20%)にまで広がりました。リストの半分を声に出したときは8ポイントでした。80%を声に出すと効果は逆転し、少数の黙読した単語のほうが、音読した単語よりもよく思い出されました。
- 差の一部は、黙読した部分が割を食った結果。 混合リストでは、黙読した行が、すべてを黙読するリストの場合よりも思い出しにくくなることがあります。まるで脳が、声に出した行のほうを大事なものとして扱っているかのようです。2017年のレビューは、自由再生での混合リストの効果について、「ほぼもっぱらコストによるものと見られる」と結論づけています。
- 単に時間を多くかけたからではない。 音読は黙読より時間がかかりますが、黙読する単語をわざと長めに表示しても効果は残りました。また、文章を使った2012年の研究では、読むのにかかった時間と効果の大きさのあいだに、有意な相関は見られませんでした。
実際のところ、音読はより多くを覚えるための方法というより、何をいちばんよく覚えるかを選ぶための方法です。選び抜いた少数の箇所に絞って使えば、このトレードオフは有利に働きます。
音読の研究でわかったこと
産出効果はよく再現されていますが、注意点が一つあります。研究の大半は単語リストを使っており、実際の文章では伸びが小さくなるのです。下で紹介する2024年の実験では、記憶問題での伸びは4〜9パーセントポイントでした。
| 研究 | 参加者が行ったこと | 結果 |
|---|---|---|
| MacLeod et al. (2010)、8つの実験 | 一部の単語を音読し、残りを黙読してから、再認テストを受けた(2つの実験では、その代わりに、すべて音読するグループとすべて黙読するグループを比べた) | 混合リストでは、音読した単語の再認が最大20パーセントポイント多かった。口だけ動かしても効果があった。どの単語にも「はい」と言うやり方では効果がなかった。すべて音読するグループとすべて黙読するグループのあいだには、確かな差は見られなかった |
| Ozubko, Hourihan & MacLeod (2012) | 単語、単語のペア、文、教科書風の文章を学習した | 1週間後にも効果が残っていた。音読した段落は、穴埋めテストの成績が良かった |
| Forrin, MacLeod & Ozubko (2012) | 単語をつづる、書く、タイプする、口だけ動かす、ささやく、のいずれか | どの方法も黙読を上回った。書く、口だけ動かす、ささやくは、いずれも声に出す条件と同じリストの中で比べると、声に出すことには及ばなかった |
| Fawcett (2013)、メタ分析 | すべてを音読したグループと、すべてを黙読したグループを比較 | 中程度の再認の向上(g = 0.37)。MacLeod と Bodner は、混合リストでの効果より著しく小さいとしている |
| Icht, Mama & Algom (2014)、参加者60人 | 単語リストの20%、50%、80%のいずれかを音読した | 声に出した単語が少数派のときに差が広がった。多数派のときは、自由再生では逆転し、再認では消えた |
| Forrin & MacLeod (2018)、学生75人 | 音読する、自分の声の録音を聞く、他人が読むのを聞く、黙読する、のいずれか | 段階的な差。音読が最も高く、次に自分の声の録音を聞く(わずかに低い)、他人の声を聞く、黙読の順 |
| Roberts et al. (2024)、4つの実験、参加者393人 | 読解テストの文章を音読または黙読し、多肢選択式の問題に答えた | 記憶問題の成績は、それを測った3つの実験すべてで向上した。理解問題は確実には向上しなかった |
2024年の論文は、学生が読解テストで実際に向き合うような文章で、この効果を検証しました。ウォータールー大学とフリンダース大学の Brady Roberts らは、参加者に Nelson-Denny Reading Test やテスト対策教材の文章を、一部は音読で、一部は黙読で読んでもらい、そのあと多肢選択式の問題に答えてもらいました。記憶を問う問題の正答率は次のとおりです。
- 実験1(学生47人、実験室):音読した文章で81%、黙読した文章で72%
- 実験2(成人64人、オンライン):81%対74%
- 実験3(成人151人、オンライン):85%対81%
伸びが最も大きかったのは、監督者のいる実験室での実験(9ポイント)で、2つのオンライン実験では小さくなりました(7ポイントと4ポイント)。著者らは、これはオンラインでテストしたことの影響かもしれないと述べていますが、伸びが消えることはありませんでした。文章をまるごと読む場合、参加者はこの効果を予想していませんでした。実験2では、参加者は音読した文章の正答率(59%)を、黙読した文章(64%)よりわずかに低く予想していました。この差は統計的に有意ではありませんでしたが、実際の点数は予想とは逆になりました。対照的に、単語を1つずつ覚える場合には、人は声に出したほうが覚えやすいと予想します (Castel, Rhodes & Friedman, 2013)。
ただし、この効果はどんな場合にも現れるわけではありません。高齢者では、若い人に比べて産出効果が小さくなります (Lin & MacLeod, 2012)。また、下の名前を声に出して言っても、初めて見る顔とどの名前が対応していたかを覚える助けには、まったくなりませんでした (Hourihan & Smith, 2016)。
音読と黙読:理解は深まるのか?
Roberts らは、問題を2種類に分けていました。記憶を問う問題は、文章に直接書かれている事実について尋ねるものです。理解を問う問題は、文章の主題や論調について尋ねたり、推論を求めたりするもので、文に見覚えがあるかどうかだけでは答えられません。
音読は前者には役立ちましたが、後者に確実に役立つことはありませんでした。実験1では理解問題でも音読が勝ったように見えましたが(80%対74%)、この結果は再現されませんでした。実験2は82%対81%、実験3は87%対85%(有意差なし)で、新しい教材を使い、成人131人を対象に、すべてを理解に絞って設計した4つ目の実験でも、54%対52%(こちらも有意差なし)にとどまりました。著者らの結論は、産出が正答率を高めるのは「テストされる情報が、学習した情報ときわめて近く一致しているときに限られる」というものです。
受験上の配慮(試験方法の調整)に関する研究も、同じ結論を示しています。Batya Elbaum らによる2004年の研究では、中学生と高校生311人(うち230人は学習障害のある生徒)が、読解テストを2つの形式で受けました。1つは通常の条件で、もう1つは文章を自分で声に出して読みながら受けました。平均点に差はなく、学習障害のある生徒が、ほかの生徒より大きな恩恵を受けることもありませんでした。
音読には時間もかかります。Marc Brysbaert の2019年のメタ分析によると、英語では、大人が黙読する速さは(ノンフィクションで)1分あたり約238語、音読は約183語で、声に出すとおよそ30%長くかかります。5,000語の章なら、約21分が約27分になります。しかも、遅く読めばそれだけ良いというわけでもありません。2024年の一連の実験では、わざと読みにくくしたフォント Sans Forgetica も試されましたが、正答率は上がりませんでした。
そこで、役割を分けましょう。
| 目的 | 音読 | 黙読 |
|---|---|---|
| 事実や正確な言い回しを覚える | 有利。記憶問題で81%対72%(Roberts et al., 2024 の実験1) | 基準 |
| 主題、論調、推論を理解する | 確かな向上はない | 音読と同等 |
| 速さ | 1分あたり約183語 | 1分あたり約238語(ノンフィクション) |
| 集中を保つ | 文章に触れる3つの方法のうち、マインドワンダリングが最も少ない (Varao Sousa et al., 2013) | 途中で尋ねた回の約36%で注意が逸れていた |
| 向いている用途 | 定義、公式、名前、日付、重要な主張、引用 | 最初の通読、流し読み、議論の筋を追うこと |
深く理解したいなら、自分で説明せざるをえなくなる方法を使いましょう。考えを自分の言葉で言い換えたり、それがなぜ正しいのかを自問したりする方法です。
声に出す、ささやく、口だけ動かす、書く:いちばん効くのはどれか?
勉強中にいつも声を出せるとは限りませんし、その必要もありません。研究者は代わりになる方法のほとんどを、声に出して読むことか黙読と比べて検証してきましたが、代わりの方法どうしを比べた研究はほとんどありません。ですから、この表の中ほどは厳密な順位ではなく、おおまかな順番として読んでください。
| 産出のしかた | 黙読と比べた効果 | 根拠 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 歌う | ふつうの声や大きな声で読むよりも大きい | Quinlan & Taylor (2013) | 一人のときの単語リストや語彙の暗記 |
| 大きな声で読む | ふつうの音量で読むより大きい | Quinlan & Taylor (2013) | 家で一人で勉強するとき |
| ふつうの音量で音読する | 大きい。比較の基準になる効果 | MacLeod et al. (2010) | 重要な行を読むときの基本 |
| 自分の声の録音を聞く | ある研究では、音読をわずかに下回った | Forrin & MacLeod (2018) | 通勤・通学中や復習の時間 |
| ささやく | 声に出すより小さい。同じリストの中で14ポイント対23ポイント | Forrin et al. (2012) | ほかの人がいる部屋 |
| 声を出さずに口だけ動かす | 声に出すより小さい。同じリストの中で13ポイント対29ポイント | Forrin et al. (2012); MacLeod et al. (2010) | 図書館や電車の中 |
| 書く、タイプする | 声に出すより小さい | Forrin et al. (2012) | ノートやフラッシュカード |
| 他人が読むのを聞く | 小さい | MacLeod (2011); Forrin & MacLeod (2018) | 講義やオーディオブック(自分の声を足すなら) |
| 黙読する | 基準 | 比較のための条件 | 最初の通読、流し読み、内容の理解 |
このパターンは、おおむね示差性の考え方に沿っています。産出に含まれる際立った要素が多いほど、よく記憶されるのです。声に出して読むことには、口の動き、音、そして自分の声という3つの要素があります。ささやくときには、口の動きと音の一部が残ります。口だけ動かすときに残るのは、動きだけです。他人が読むのを聞くときには、音しかありません。Forrin と MacLeod は、記憶の成績が「学習時の示差的な要素の数と歩調を合わせて」上がっていくと述べています。
歌うことについての根拠は、さらに乏しくなります。Quinlan と Taylor (2013) は、大きな声で読むとふつうに読むより効果があり、歌うとその両方を上回ることを見いだしましたが、これは1組の実験にすぎず、MacLeod と Bodner のレビューも「いくらかの示唆」と呼ぶにとどめています。有望ではあっても、まだ確定したものではないと考えておきましょう。
音読か、聞くか:オーディオブック、講義、YouTube
「耳で学ぶ」方法の多くは、先ほどの表で音が聞こえる条件のうち、最も効果の小さいものに当たります。他人の声を聞くという条件です。参加者がそれぞれもう1人の読み手と並んで学習した MacLeod の2011年の研究では、自分で音読した単語は、2つの実験で、黙読した単語をそれぞれ29パーセントポイントと33パーセントポイント上回りました。一方、相手が読むのを聞いただけの単語が黙読を上回ったのは、約10ポイントでした。Forrin と MacLeod の2018年の研究でも、差は小さいものの同じ順番になりました。音読で12ポイント、他人の声を聞くと4ポイントです。
聞くことには、もう一つ問題があります。注意が逸れやすいのです。Trish Varao Sousa、Jonathan Carriere、Daniel Smilek は、ウォータールー大学の学生200人以上に、Bill Bryson の A Short History of Nearly Everything(邦訳『人類が知っていることすべての短い歴史』)から抜き出した約1,800語の文章3つのうち、1つを音読し、1つを黙読し、1つを音声で聞いてもらいました。課題の途中で注意の状態を尋ねると、注意が逸れていた割合は、聞いているときが約半分(51%)、黙読しているときが約3分の1(36%)で、音読しているときが最も低くなりました。聞いたときには、記憶も最も悪く、興味も最も低くなりました。
この研究では、音読すると学生は集中を保てましたが、その文章についての10問の正誤テストの点数は、黙読した文章と比べて有意には高くなりませんでした。どの学生も、音読と黙読でそれぞれ1つずつ文章を読んでいたにもかかわらずです。課題に集中できていることと、より多くを覚えていることは、同じではありません。
講義をあきらめる必要はありません。聞いたら、自分の声で応えればよいのです。動画をセクションごとに一時停止して、要点を自分の言葉で言ってみましょう。そうすれば、聞くことが検索練習に変わります。そのうえで、正確に覚える必要のある行は、自分の声で読み上げます。YouTube Summaryでまとめた要点を音読したり、Glasp の YouTube ハイライターで文字起こしの行を保存しておき、動画全体を見直す代わりに、あとでその行を声に出したりしましょう。動画で語学を学んでいるなら、シャドーイングを使うと、聞くことに話すことを、もっと体系的な形で加えられます。ただし、シャドーイングで主に鍛えられるのは耳と流暢さで、内容の記憶ではありません。
音読を勉強法として使う方法
研究で効果が確かめられている場面では音読を使い、そうでない場面では使わない手順を紹介します。
- まず黙読して、理解する。 音読は理解に確実に役立つわけではなく、時間も約30%長くかかるので、1回目は黙読にしましょう。この段階の目標は、議論の筋を追うことです。
- 正確に思い出す必要があるところをハイライトする。 定義、数字、公式、名前、日付、重要な主張、語彙などです。Glasp のウェブハイライターを使えば、ウェブページや PDF のこうした行に印をつけられます。Kindle のハイライトも、同じライブラリにまとめておけます。
- ハイライトした部分を音読する。 これで、実験室の混合リストが再現されます。ハイライトした行は声に出し、残りは黙読するわけです。声に出す部分を少数にとどめると、さらに効果的かもしれません。Icht の2014年の研究では、音読したのが単語の5分の1だけのときに差が最も大きく、大半を音読したときには消えるか逆転したからです。これも、ハイライトを控えめにするべき理由の一つです。すべての行に印がついたページでは、印のついた行を際立たせる背景が何も残りません。
- ページを閉じて思い出す。 音読はその箇所を際立たせ、それを長く記憶にとどめるのは検索練習です。覚えていることをすべて書き出すか声に出し、それからハイライトと照らし合わせましょう。ブラーティング法はこれを体系的に行うやり方で、それが効く理由はアクティブリコールの記事で解説しています。
- 数日にわたって繰り返し復習する。 実験室では産出効果は1週間続きましたが、試験ではたいてい、もっと長く覚えておく必要があります。間隔をあけて何度か同じハイライトに戻り、読み返す前に思い出しましょう。
- 場所に合わせて使い分ける。 人のいる場所では、ささやくか、口だけ動かしましょう。ハイライトを読み上げる自分の声を録音して、散歩中に聞き直すこともできます。ある研究では、自分の声の録音を聞くほうが、他人の声を聞くより効果がありました。ただし、この手順そのものを検証した研究はありません。
歴史の教科書の1章を例にとると、この役割分担がよくわかります。まず黙読して原因と結果を理解し、人名や年号、試験で論じる必要のありそうな重要な主張をハイライトして、それを音読します。そして、章の議論を記憶から組み立て直してみます。事実を受け持つのは音読で、理解を受け持つのは組み立て直しです。
よくある質問
音読と黙読では、どちらがよいですか?
具体的な事実や言い回しを覚えるなら音読、理解するなら、速くて効果も変わらない黙読が向いています。音読した単語や文章は、黙読したものよりもよく記憶されますが、黙読のほうがおよそ30%速く、音読で理解が確実に深まることも示されていません。勉強では、両方を順番に使いましょう。まず黙読で理解し、それから覚えておきたい箇所を音読します。
音読すると、読んだ内容をよく理解できるようになりますか?
確実にそうなるとは言えません。4つの実験からなる2024年の研究では、記憶問題を出した3つの実験すべてで、音読によって正答率が上がりました。一方、主題、論調、推論についての理解問題での向上は1つ目の実験でしか見られず、再現されませんでした。中学生と高校生311人を対象にした2004年の研究では、読解テストの最中に文章を自分で音読しても、平均点は変わりませんでした。音読すると理解しやすくなる気がするとしたら、それは音読が注意をページにつなぎとめてくれるからかもしれません。2013年の研究では、学生の注意が逸れる頻度は、黙読するときより音読するときのほうが低くなりました。
声に出すと覚えやすいのはなぜですか?
話すことで、記憶に際立った特徴が加わるからです。口の動き、言葉の響き、そして自分の声です。あとになると、「それを言ったのを覚えている」という感覚が、その情報を学習したものだと見分ける助けになります。声に出した内容が、黙読した内容の中で際立っているときに効果が最も強くなるのも、そのためです。
ささやいたり、口だけ動かしたりしても効果はありますか?
あります。どちらも黙読には勝りますが、ふつうの音量で声に出すほどではありません。声に出す条件と同じリストに混ぜて比べた2012年の研究では、ある実験で、声に出すと黙読より約29パーセントポイント、口だけ動かすと13ポイント高くなりました。別の実験では、声に出すと23ポイント、ささやくと14ポイントでした。それでも、図書館などの静かな場所では十分に良い選択肢です。
オーディオブックを聞くのは、音読と同じくらい効果がありますか?
いいえ。他人が読むのを聞くことは、音が聞こえる方法のなかで最も効果が小さいものです。単語リストの研究では黙読を上回りますが、その差は音読よりずっと小さくなります。2013年の研究では、文章を聞いたときに、マインドワンダリングが最も多く(途中で注意の状態を尋ねた回の約半分)、記憶が最も悪く、興味も最も低くなりました。音声や動画で学ぶなら、一時停止して、要点を自分で言い直しましょう。
音読は長期記憶に役立ちますか?
はい。少なくとも1週間は効果が続きます。Ozubko, Hourihan & MacLeod (2012) は、1週間おいたあとでも、音読した単語のほうが再認の成績が良いことを確かめています。試験の日まで覚えておくには、1回の音読に頼るのではなく、間隔をあけた検索練習と組み合わせましょう。
音読は語学学習に役立ちますか?
新しい単語の形を見分けるのには役立つ可能性があります。MacLeod の2010年の実験では、発音できる非単語(実在しない単語)でも産出効果が見られました。初心者の目には、新しい語彙はだいたいそんなふうに見えるものです。ただし、これらの研究が調べたのは単語を再認できるかどうかで、単語と意味を結びつけられるかどうかではありません。ですから新しい単語を覚えるときは、単語だけを言うのではなく、意味と一緒に声に出しましょう。発音やリスニングには、シャドーイングのような、話すことに特化した練習のほうが向いています。
まとめ
音読は、実験室でしっかりした裏づけがあり、しかも練習なしにすぐ使える、数少ない勉強法の一つです。産出効果は確かに存在します。声に出した内容は黙読した内容よりもよく記憶され、その効果は少なくとも1週間続き、単語リストだけでなく段落にも効きます。限界も同じくらいはっきりしています。助けになるのは記憶で、理解ではありません。主に対比によって働くので、すべてを音読すると効果が鈍ります。そして、他人の声を聞くことは、自分の声の代わりとしては力不足です。
ですから、研究が示すとおりに使いましょう。黙読して理解し、覚えておきたい箇所をハイライトし、そこを声に出して読み、それから思い出せるかどうか自分で確かめるのです。Glaspは、ウェブページや PDF、Kindle の本のハイライトを1つのライブラリにまとめて保存するので、それがそのまま音読用のリストになります。YouTube Summaryを使えば、長い講義を、声に出して言い直せる要点にまとめられます。