結論から:どのアプリを選ぶべきか
2026年、1人で使うなら Obsidian が、チームで使うなら Notion が最良のノートアプリです。 Obsidian は無料でアカウントも不要、プレーンな Markdown を自分のディスクに保存し、必要なら年払いで月$4の同期機能を追加できます。Notion は年払いでメンバー1人あたり月$10で、ここで扱うなかでグループ運営のために作られた唯一のツールです。とにかく速さだけが欲しいなら、Apple Notes と Google Keep が、すでに持っている端末に無料で付いてきます。
以下では、その理由と、検証済みの2026年9月時点の価格、そして今年まちがえやすい4つのアプリを取り上げます。まずは、それぞれの実際の料金です。
| アプリ | 無料プラン | 有料(年払い) | 有料(月払い) |
|---|---|---|---|
| Obsidian | 全機能、ノート数無制限、アカウント不要 | Sync $4/月、Sync Plus $8/月 | Sync $5/月、Sync Plus $10/月 |
| Notion | あり、かなり寛大 | Plus $10/メンバー、Business $20/メンバー | Plus $12、Business $24 |
| Capacities | ノート無制限、同期、オフライン対応 | Pro $9.99/月 | Pro $11.99/月 |
| Apple Notes / Google Keep | 製品のすべて | プラットフォームに付属で無料 | プラットフォームに付属で無料 |
| Granola | Basic、直近30日間の履歴 | 非公開 | Business $14/ユーザー、Enterprise $35 |
| Reflect | なし、14日間の試用のみ | $10/月($120/年) | 提供なし |
| Evernote | ノート50件、ノートブック1冊、端末1台 | Starter $99/年($8.25/月)、Advanced $249.99/年 | Starter $14.99、Advanced $24.99 |
| Mem | 新規ノート月25件 | 提供なし | Plus $9、Pro $29(月100ノート) |
| Glasp | コアのハイライト機能 | 無料 | 無料 |
すべての数字は、2026年9月12日時点の各社公式価格ページから取得したものです。この1年でプラン体系をまるごと入れ替えた会社が2社、Evernote と Mem です。多くの比較記事にある「おおよその価格」というぼかした書き方が、役に立たないどころか有害である理由がここにあります。
2026年に実際に変わったこと
1年半前に書かれたノートアプリ比較を読むと、その主張のうち4つはもう正しくありません。何がいつ変わったのかを、具体的に挙げます。
Notion がオフラインで動くようになりました。 これは長年にわたる Notion への定番の批判でしたが、2025年8月の Notion 2.53 で当てはまらなくなりました。オフラインページは Free を含む全プランのすべてのメンバーが、デスクトップとモバイルのアプリで使えます。ブラウザは対象外のままで、Free ユーザーは手動でページをオフライン利用可に設定する必要があり、データベースは最初のビューの先頭50行しか持ち出せず、埋め込み、フォーム、共有は使えないままです。それでも「接続がなければ Notion は死ぬ」という一括りの主張は、もう成り立ちません。
Obsidian が商用ライセンスの必須要件をやめました。 2025年2月までは、従業員2人以上の会社で Obsidian を使う人は商用ライセンスを購入することになっていました。この要件は撤廃されました。ユーザー1人あたり年$50のライセンス自体はいまも存在しますが、仕事で使うための条件ではなく、プロジェクトを支援するための任意の手段になっています。
Mem がノート単位の課金を始めました。 Mem は「あなたのAI参謀」として自らを作り直し、いまやノートの作成数に応じて課金します。無料プランは新規ノートが月25件まで。月$29の Mem Pro で100件です。いくら払っても無制限プランはなく、年払いも用意されていません。
Evernote が従来のプラン名を廃止しました。 Personal、Professional、Teams は姿を消し、個人向けは Starter と Advanced、チーム向けは Flexible と Enterprise に置き換わりました。しかも Evernote は、旧プランに戻すことも従来価格の割引を受けることもできないと、はっきり明言しています。Evernote Personal の価格を引用したガイドと比べているなら、そのプランはもう存在しません。
もう2つ、知っておく価値があります。Google は2026年7月に NotebookLM を Gemini Notebook へ改称しました。2026年の記事でいまだに NotebookLM と呼んでいるものは、公開時点ですでに古いということです。そして Reflect は2026年7月、プレーンな Markdown ファイルを保存するローカルファーストのオープンソース版、Reflect Open を公開しました。これは同社が現在販売している暗号化クラウドアプリとは、まったく別の製品です。
いまも差がつく4つのポイント
ブロック編集、双方向リンク、AI要約、モバイルでの保存は、いまや本格的なアプリならほぼすべてに備わっています。機能が横並びになったら、比較の軸は真似しにくいところへ移すしかありません。残るのは4つ。いずれも発表日ではなく、何年も毎日使い続けるなかで良し悪しが表れるものです。
データの所有権。 ノートは物理的にどこにあり、支払いをやめたら何が起きるのか。ローカルファーストのアプリは、会社が消えても残るプレーンなファイルを自分のディスクに置きます。クラウドファーストのアプリは自社のデータベースにノートを保管し、エクスポートで取り出せはしても、本当の意味であなたのものではありません。これは計画の時間軸の問題だと考えてください。10年かけて育てるセカンドブレインは、どの1社よりも長生きすべきです。Evernote のユーザーは、経営権が変わるとはどういうことかを、ちょうど学んだところです。
保存時の手間。 「これを残したい」と思ってから「残った」までの距離のことです。ノートの仕組みは、たいていこの摩擦のせいで静かに死にます。記事の一段落を保存するのにタップが6回必要なら、人はやめてしまいます。そして中身が空の仕組みは、どれだけ美しくても価値がありません。ウェブとモバイルからの保存が最も摩擦の大きい経路ですが、多くのアプリはいまだにそこを後回しにしています。
大規模での検索。 ノートが50件なら、どのアプリの検索もうまく動きます。試されるのは5,000件を超えてからです。うろ覚えの一節を2秒で探し出せるかどうか。優れた検索は全文検索、あいまい検索、そして近年は意味ベースの検索を組み合わせるので、正確な言葉を忘れていても意味からノートにたどり着けます。検索が弱いと、大きなボールトは書き込むだけのアーカイブになります。
AIプランまで含めた総コスト。 個人向けの価格は誤差のようなものです。チーム利用では人数分積み上がり、しかも2026年のAI料金はもはや小さな追加オプションではありません。Notion はAIを Business プランに統合したため、「AI付きの Notion」の下限は年払いでメンバー1人あたり月$10ではなく$20になり、Custom Agents はその上にさらに従量課金が乗ります。Capacities はAIを月$10の追加オプションとして販売しています。Google の Keep のAI機能には、有料の Google AI プランが必要です。基本料金より先に、AIの行を読んでください。
実勢価格つきの直接比較マトリクス
月払いと年払いの両方を公開している会社については、どちらも記載しています。その差が20%以上になることも珍しくないからです。
| アプリ | データの所有権 | 保存時の手間 | 大規模での検索 | 向いている用途 | 2026年の実勢価格 |
|---|---|---|---|---|---|
| Notion | クラウドファースト。エクスポートは可能だが、データは Notion のDB内 | 中程度。ウェブクリッパーあり、モバイルは数タップ | 良好。Business 以上はAI検索を標準搭載 | チーム、社内wiki、データベース、プロダクトとしてのドキュメント | 無料あり。Plus は年払いでメンバー1人あたり月$10(月払い$12)、Business は$20($24) |
| Obsidian | ローカルファースト。完全に自分のものになるプレーンな Markdown ファイル | 小さい。主要ブラウザすべてに公式 Web Clipper | 全文検索が非常に優秀、プラグインで拡張可能 | PKM のパワーユーザー、研究者、開発者 | 無料、アカウント不要。Sync は年払いで月$4(月払い$5)、Plus は$8($10) |
| Evernote | クラウドファースト。エクスポート機能は成熟 | 小さい。この分野で最も実績のあるウェブクリッパー | 堅実な全文検索。画像内の文字も対象 | 何年分ものアーカイブを抱える既存ユーザー | 無料あり(ノート50件)。Starter は年$99(月$8.25)または月払い$14.99、Advanced は年$249.99 |
| Mem | クラウドファースト | 保存自体は手軽だが、プランで上限あり | 関連ノートをAIが提示 | 汎用のノート作成ではなく、AIアシスタント用途 | 無料は月25ノート、Pro は月$29で月100ノート |
| Apple Notes / Google Keep | 各社エコシステム内でのクラウドファースト | 最も小さい。OSに内蔵され、共有シートから保存 | 基本的。少量なら快適、規模が増えると苦しい | 素早い個人メモ、標準アプリで十分な人 | プラットフォームに付属で無料 |
| Reflect | クラウドファースト、エンドツーエンド暗号化 | 小さい。ブラウザ拡張とデイリーノート中心の流れ | ネットワーク型の検索、中規模までは良好 | Apple 製品でデイリーノートを使って考える人 | 年払いで月$10(年$120)、無料プランなし |
| Capacities | クラウドファースト。インポートもエクスポートも完全対応 | 小さいから中程度 | オブジェクトと型を理解した検索 | 構造化されたオブジェクト単位で考える人 | 無料あり(ノート無制限)。Pro は年払いで月$9.99(月払い$11.99) |
| Glasp | ハイライトは自分のもので、どのアプリへもエクスポート可能 | 読書用途では非常に小さい。ウェブ/PDF/Kindle/動画をワンクリック | 検索できるハイライト集とコミュニティ | 読んだもの、観たものを保存すること | コアのハイライト機能は無料 |
本格的なツールのなかで最も安い Obsidian が、同時に所有権の面でも最も強いというのは、ソフトウェアでは珍しいことです。書けるノート数に上限を設けているのは、ここでは Mem だけです。そしてこの比較の主役である2つと突き合わせると、Evernote は「始める場所」ではなく「留まる場所」です。Advanced は1人あたりの料金が Notion Business より高いのに、個人ユーザーが得られるものは無料の Obsidian より少ないのです。
2026年の Obsidian vs Notion、真っ向勝負
この2つはここにあるどの組み合わせよりも比較されるので、表の1行では足りません。Notion と Obsidian は、実のところ競合していません。 両者はそれぞれ別の不安のために作られています。Notion はチームがばらばらになる不安のために、Obsidian は自分のデータの管理を失う不安のために。自分の不安がどちらかわかった時点で、答えはもう出ています。
| Notion | Obsidian | |
|---|---|---|
| 入り口の価格 | 無料プランあり、その先は年払いでメンバー1人あたり月$10 | 永久に無料、アカウント不要 |
| ノートの保存場所 | クラウド上の Notion のデータベース | 自分のディスク上のフォルダにあるプレーンな .md ファイル |
| 会社がなくなったら | 先にエクスポートしないとアクセスを失う | ファイルはすでに自分のマシンにある |
| オフライン | 2025年8月以降、全プランでデスクトップとモバイルのアプリが対応 | オフラインが既定の状態。任意なのは同期のほう |
| ウェブからの保存 | Web Clipper 拡張機能 | 2024年11月から公式 Web Clipper、Chrome ユーザー約100万人 |
| データベース | 製品の中核 | Bases が2025年8月に全ユーザーへ提供開始 |
| リアルタイム共同編集 | あり。そもそもそれが要点 | なし。共有は Publish(1サイト月$8)か同期フォルダ経由 |
| AI | Business(メンバー1人あたり月$20)以上に標準搭載 | 標準のAIはなし。プラグインか Clipper の Interpreter で対応 |
| 設定にかかる時間 | 数分 | 半日、そしてその後も調整が続く |
Notion を選ぶべきなのは、同じページを2人以上が読む場合、リレーションやビューを備えたデータベースを自作せずに使いたい場合、あるいはファイルの保管について一切考えたくない場合です。AIはワークスペース全体を意味で検索できるようになっており、チームの wiki が大きくなるほど、これは効いてきます。
Obsidian を選ぶべきなのは、基本的に一人で作業する場合、このノートを10年持ち続けるつもりの場合、あるいはツールの思想に従うのではなく自分で形づくりたい場合です。かつて Notion に軍配を上げさせていた差、つまりウェブとモバイルからの保存は、ほぼ埋まりました。Obsidian 公式のクリッパーはハイライト、テンプレート、サイトごとのルールに対応し、Bases によって足りなかったデータベースのビューも手に入りました。
正直に答えるとこうなります。チームのために選ぶなら勝負にならないので Notion を。自分のために選んでいて所有権を重視するなら、これも勝負にならないので Obsidian を。この選択で悩み続ける人はたいてい、グループのために作っているのか自分のために作っているのかを、まだ決めていないだけです。
アプリ別:得意なことと苦手なこと
Notion
得意なこと: チームのOSになることです。データベース、リレーション、ビューによって、社内wiki、プロジェクト管理、ドキュメント置き場を1か所で運用できます。Notion AI はこの共同作業の場のなかで強く、ページの要約、文脈を踏まえた下書き、ワークスペース横断の意味ベースの検索をこなします。Notion は2024年8月にユーザー数1億人を超えたと発表しており、これが同社が公表している最新の数字です。
苦手なこと: 純粋な速さ、本当の意味での所有権、そしてAI課金のかたちです。1行メモするために Notion を開く動作は、ネイティブのメモアプリと比べるといまも重く感じますし、中身は Notion のデータベースに置かれます。AIはもう、月$10のプランに安く付け足せるオプションではありません。メンバー1人あたり月$20の Business に含まれる形になり、新しい Custom Agents は月1,000クレジットあたり$10で別途課金されます。予算はそのつもりで組んでください。
Obsidian
得意なこと: ローカルファーストの所有権と深さを、反論しづらい価格で提供していることです。ノートは自分のディスク上のプレーンな Markdown で、サインアップは不要、ボールトはどの会社よりも長く残ります。デスクトップ検索は優秀で、プラグインのエコシステムがほぼ無制限に拡張し、Bases(2025年8月から正式提供)はファイル形式を離れることなく、ノートをテーブルやカードのビューに変えました。Sync は年払いでユーザー1人あたり月$4、月払いなら$5で、ボールト1つと1GBが対象。Sync Plus は年払いで$8、月払いで$10、ボールト10個と10GBが使えます。
苦手なこと: 導入のしやすさと共同作業です。パワーユーザーが愛する柔軟さは、初心者には圧倒的な複雑さに見えますし、リアルタイムの共同編集はまったくありません。ウェブからの保存に関する昔の不満は、もう当てはまりません。Obsidian 公式の Web Clipper は2024年11月に登場し、無料かつオープンソースで、Chrome、Firefox、Safari、Brave、Arc、Orion で動き、Chrome ユーザーはおよそ100万人です。自分でインストールする必要はありますし、テンプレート機能は設定した分だけ応えてくれますが、コミュニティプラグインは一切関係ありません。
Evernote
得意なこと: 保存機能の成熟度とアーカイブです。ウェブクリッパーは10年以上かけて磨かれ、いまも Chrome ユーザー約200万人、評価4.7を保っており、記事を丸ごとノートに取り込む手段としては依然として最も信頼できるものの1つです。全文検索は画像のなかの文字にまで届きます。2026年1月にリリースされたバージョン11では、AIアシスタント、セマンティック検索、AI議事録が加わりました。放置された製品ではありません。
苦手なこと: 価格の位置づけと無料プランです。無料はいまやノート50件、ノートブック1冊、端末1台で、試用というよりデモです。Starter は年$99、月払いなら$14.99、Advanced は年$249.99。つまり Advanced は1人あたりの料金が Notion Business より高いのに、チームにできることは少ないのです。旧プランは経過措置なしで廃止され、戻る方法もありません。すでに何年分ものノートがあるなら、Evernote に留まるのは妥当な判断です。ただし、これから始める先として正当化するのは難しいでしょう。
Mem
得意なこと: たまたまノートも保管してくれるAIアシスタントであることです。Mem は「あなたのAI参謀」として自らを位置づけ直し、文脈を保持する Workspace と、それをもとに動く Agent に分かれました。自分の資料をすでに把握しているモデルが欲しいのであれば、この整理は筋が通っています。
苦手なこと: この記事の主題であるノートアプリであることです。Mem はノートの作成数を従量課金にしています。Free は月25件、月$9の Plus は50件、月$29の Pro は100件で、2,000件に届くには月$199まで上がる必要があります。いくら払っても無制限プランはなく、年払いもなく、チーム向け価格も公開されていません(Mem Teams は存在しますが、問い合わせ経由のみです)。Android アプリに至ってはまったくありません。月100件は1日およそ3件です。多くの人にとっては、この数字が結論を決めてしまいます。しかも Mem に有利な方向にではありません。なお「Mem 2.0」の提供開始は今年ではなく2025年10月で、1.0 から 2.0 への移行では、一部のユーザーが頼っていた機能が失われました。
Apple Notes と Google Keep
得意なこと: 摩擦ゼロの標準的な保存手段であることです。そして両者とも、静かに良くなっています。Apple Notes はノート間リンクに対応し(>> と入力するか「リンクを追加」を使います)、iOS 26 から Markdown でのエクスポートができるようになり、iPhone 12 以降なら Apple Intelligence なしでも音声を文字起こしします。Google Keep は2026年9月に Keep Live を追加し、思いつくまま話した内容を構造化されたリストに変えられるようになったほか、Google メッセージのなかで Keep のメモを共有できるようになりました。
苦手なこと: ナレッジシステムへの拡張と、AI機能の但し書きです。Apple Notes には他のノートへ張るリンク(発リンク)はありますが、文書化されたバックリンクの索引はないため、あるノートから別のノートを指すことはできても、どこから指されているかは見えません。Keep のAI機能はどれも有料の Google AI プランか Pixel 端末を必要とし、リスト生成機能は現時点で Android 限定です。Google は Keep API のリファレンスでノートごとのサイズ上限(本文20,000文字、リスト項目1,000件)を明記していますが、ノート数の上限はどちらの会社も公表していません。他所で見かけるその手の数字は、作り話だと思ってください。この2つは受信箱としては優秀ですが、書庫としては力不足です。
Reflect と Capacities
得意なこと: 思考のかたちについての明確な主張を、はっきりした価格で示していることです。Reflect はデイリーノートを中心に据え、XChaCha20-Poly1305 によるエンドツーエンド暗号化(Doyensec による第三者監査済み)を備えて、年払いで月$10です。Capacities はノートを平たいページではなく型付きのオブジェクト(人、本、会議など)としてモデル化しており、その無料プランはここで最も寛大です。スペース、オブジェクト、ブロックが無制限、デバイス間同期、オフライン対応、完全なエクスポートが、すべて無料で使えます。唯一上限があるのはメディアのアップロードで、5GBまで、その後は月100MBです。Pro は年払いで月$9.99、月払いで$11.99です。
苦手なこと: 対応プラットフォームと規模、そして暗号化にまつわる但し書きが1つ。Reflect には無料プランがなく、Windows アプリも Android アプリもありません。さらにAI機能を使うと、テキストは暗号化の枠の外にある OpenAI、Anthropic、Google へ送られます。つまり「暗号化されていて、かつAIが使える」は同時には成り立ちません。2026年7月のオープンソース版 Reflect Open は、Mac 用のダウンロードと iPhone の TestFlight ビルドで、いまだ 1.0 前です。どちらの会社も本当に小規模で、iOS の掲載ページの評価件数はそれぞれ約87件と113件です。これは検討時に量るべき現実のリスクではありますが、これだけで候補から外すほどではありません。
知っておきたい存在:Granola と Gemini Notebook
「ベストなノートアプリ」の検索結果に繰り返し現れるのに、従来の意味でのノートアプリではないツールが2つあります。Granola は会議を録音して議事録にまとめるツールで、2026年3月に評価額15億ドルで1億2,500万ドルのシリーズCを調達し、macOS、Windows、iOS、Android で動きます。無料の Basic プランは直近30日間の履歴を保持し、Business はユーザー1人あたり月$14です。Gemini Notebook は Google が2026年7月に NotebookLM から改称したもので、大量の資料を根拠付きのリサーチ用ワークスペースに変え、3,000万人以上のユーザーがいると発表しています。どちらも見る価値はありますが、どちらも汎用のノートシステムの代わりにはなりません。この分野の位置づけは NotebookLM の代替ツール のガイドで扱っています。
オフライン動作とデバイス間同期
多くの人にとって、判断は2つの問いで決まります。飛行機のなかで使えるか。そしてスマートフォン、ノートPC、タブレットのあいだで足並みがそろうか。その答えは、宣伝文句から受ける印象よりもばらついています。
| アプリ | オフライン動作 | デバイス間同期 | 対応プラットフォーム |
|---|---|---|---|
| Obsidian | 対応。設計上そうなっている(ファイルがローカルにある) | 任意の有料 Sync。AES-256 のエンドツーエンド暗号化で、再接続時にマージ | Mac、Windows、Linux、iOS、Android |
| Notion | 2025年8月から対応。ただしデスクトップとモバイルのアプリのみ | 標準搭載 | Mac、Windows、iOS、Android、ウェブ |
| Apple Notes | アプリでは対応。ただし Apple は明文化していない | iCloud | Apple 製品、加えて任意のブラウザから iCloud.com |
| Google Keep | どのプラットフォームでも明文化なし | Google アカウント | Android、iOS、ウェブ、Wear OS |
| Capacities | 対応。自社の価格ページに明記 | 全プラン、全デバイスで標準搭載 | Mac、Windows、Linux、iOS、Android、ウェブ |
| Evernote | Free を含む全プランで対応 | Free は同時に1台までに制限 | 幅広く対応 |
| Mem | 会社はウェブ、デスクトップ、モバイルすべてで対応と説明 | 対応 | Mac、Windows、iOS、iPad、ウェブ。Android なし |
| Reflect | 対応 | 対応 | Mac、iOS、ウェブ。Windows なし、Android なし |
オフラインが機能ではなく既定の状態になっているのは Obsidian だけです。ファイルがもともと、他のどこにも置かれていないからです。Notion のオフラインモードは本物ですが部分的で、データベースは最初のビューの先頭50行だけが表示され、埋め込み、AIブロック、フォーム、ボタンは接続なしでは動きません。Android を使っているなら、他の点がどれだけ魅力的に聞こえても、Mem と Reflect は単純に選択肢から外れます。
求めているのがオフラインファーストの保存にAIを載せた環境で、しかもスマートフォン、ノートPC、タブレットをまたぐなら、誠実な答えは2つです。Notion は iPad を含む3種類の端末すべてをカバーし、全プランでデスクトップとモバイルのアプリがオフラインに対応し、本格的なAIにはメンバー1人あたり$20の Business が必要です。Obsidian はオフラインファーストを保存方式そのものにしており、Android タブレットを含めどこでも動き、AIにはプラグインか Clipper の Interpreter で届きます。どちらも再接続時には、古いほうのコピーを上書きするのではなく、変更をマージします。
誰も挙げない「保存」の問題
ほとんどの「ベストなノートアプリ」ガイドは、行き先の話で終わります。エディタ、リンクのグラフ、AI機能を比べ、さあ真新しいボールトを埋めてきてください、と送り出します。そして、何も入ってきません。
そうしたガイドは入力側を飛ばしています。ノートはノートアプリのなかで生まれるわけではありません。記事を読み、PDFに目を通し、本を読み進め、動画を観るところから生まれます。ノートアプリはアイデアが着地する場所です。生まれる場所は別にあります。その素材からの保存が苦痛なら、世界最高のエディタも空っぽのままです。上の価格表が見た目ほど重要ではない理由も、ここにあります。実際に中身を入れる$0のアプリは、入れない$29のアプリに勝ちます。
この隙間を埋めるために作られたのが Glasp のウェブハイライター です。読みながらページ上で直接ハイライトすると、そのハイライトは構造化されたノートになり、そのまま Notion へ送る ことも、Obsidian へ送ることも、他のどこへ送ることもできます。Glasp は、上で選んだどのアプリにも付けられる保存用のフロントエンドです。
対応範囲をあえて広くとっているのは、読むという行為そのものが広いからです。動画を何度も巻き戻す代わりに、YouTube Summary で要点と文字起こしを取り出しましょう。Kindle のハイライト を保存すれば、本のなかで印を付けた一節が独自形式のリーダーのなかで朽ちることなく、自分の仕組みへ流れ込みます。さらに Glasp はソーシャルなので、同じ記事や本を他の人がどこでハイライトしたかを コミュニティ で見つけられます。放っておけば見逃していた手がかりが、そこに浮かび上がります。
Notion、Obsidian、Capacities が決めるのは、アイデアがどこに住むかです。Glasp が決めるのは、そこへどうやって届くかです。2つのレイヤーは別々の問題を解いており、多くの比較記事が忘れるのは保存のレイヤーのほうです。読書を自分の構成のどこに置くか迷っているなら、このレイヤーそのものは おすすめのオンラインハイライター のガイドで、本については Kindle ハイライト活用ワークフロー で最初から最後まで扱っています。
選び方:判断のための一覧表
いちばん大きな悩みと、それを解くツールを突き合わせてください。価格表に載せなかった観点が1つあります。出費をゼロに抑えたまま好きなだけ書きたいという制約なら、答えは Obsidian か Capacities です。$0でノート数無制限を認めているのは、ここではこの2つだけです。
| 優先したいことが… | 選ぶべきは | 理由 |
|---|---|---|
| チームの wiki や共有ワークスペース | Notion | データベース、権限管理、共同作業でのAIが中核の強み |
| ファイルを永久に自分のものにすること | Obsidian | 自分のディスク上のプレーンな Markdown、無料、アカウント不要 |
| 出費ゼロで自由に書き続けること | Obsidian か Capacities | どちらも$0でノート数無制限 |
| 個人メモを可能な限り速く残すこと | Apple Notes / Google Keep | OS標準、無料、摩擦はほぼゼロ |
| 10年分のアーカイブを生かし続けること | Evernote | 成熟したクリッパー、画像内まで届く検索 |
| 本物の暗号化つきデイリーノート | Reflect | 監査済みのエンドツーエンド暗号化、年$120、Apple 中心 |
| フォルダではなく構造化されたオブジェクト | Capacities | 型が中身を収納するのではなく、形づくる |
| 会議を議事録にまとめること | Granola | 専用設計、マルチプラットフォーム、無料プランあり |
| 読んだもの、観たものを保存すること | Glasp、そして上のどれかと併用 | 他のすべてに中身を供給する保存レイヤー |
ノートの住まいを1つ決めて、そこに取り込み口として Glasp を足してください。1つのアプリに両方の役割を担わせようとするより、この組み合わせのほうが優れています。いまのところ、両方を同じ水準でこなせるアプリは存在しないからです。長持ちする仕組みづくりの全体像については、パーソナルナレッジマネジメント と セカンドブレインの作り方 のガイドをご覧ください。
よくある質問
Notion と Obsidian、2026年はどちらが優れていますか?
抽象的にはどちらとも言えません。2つは正反対の不安に最適化されているからです。問題がチームの調整にあるなら Notion が優れており、年払いでメンバー1人あたり月$10という価格で、共同編集のために設計されたツールはここでは Notion だけです。永久に自分のものになるプレーンな Markdown ファイルが欲しいなら Obsidian が優れており、しかも無料でアカウントも不要です。決め手になっていた昔の2点は、今年どちらも動きました。Notion はオフラインで動くようになり、Obsidian は公式のウェブクリッパーを出したので、いまは共同作業か所有権かで選んでください。
Obsidian は実際いくらかかりますか?
アプリ本体は、仕事で使う場合も含めて誰にとっても無料で、サインアップも不要です。Obsidian Sync は年払いでユーザー1人あたり月$4、月払いなら$5で、ボールト1つと1GBが対象です。Sync Plus は年払いで$8、月払いで$10、ボールト10個と10GBが使えます。Obsidian Publish は年払いで1サイトあたり月$8です。ユーザー1人あたり年$50の商用ライセンスは2025年2月に任意となり、いまは必須要件ではなく、プロジェクトを支援するための手段になっています。
Mem に月$29を払う価値はありますか?
ノートアプリではなくAIアシスタントが欲しい場合に限ります。Mem のプランは、毎月作成できる新規ノートの数に上限があります。Free は25件、月$9のプランは50件、月$29の Pro は100件です。いくら払っても無制限プランはなく、年払いもなく、Android アプリもありません。1日におよそ3件より多く書くなら、つまり本格的にノートを取る人のほとんどにとって、Mem の課金モデルは不利に働きます。
Mem と Obsidian はどう違いますか?
もはや同じ種類の製品ではありません。Obsidian は無料で、プレーンな Markdown を自分のディスクに保存し、書く量に上限を設けません。Mem は月$29で新規ノートは月100件、1日あたりおよそ3件で、いくら払っても無制限プランはなく、Android アプリもありません。自分の資料をすでに把握しているAIアシスタントが欲しくて、書く量が少ないなら Mem を。好きなだけ書きたくて、10年後もファイルを手元に残したいなら Obsidian を選んでください。
Obsidian と Reflect、どちらを選ぶべきですか?
ファイルを所有したいなら Obsidian、デイリーノートとエンドツーエンド暗号化が欲しいなら Reflect です。Obsidian は無料で、Mac、Windows、Linux、iOS、Android で動きます。Reflect は年払いで月$10、無料プランはなく、Windows アプリも Android アプリもありません。Reflect の暗号化は XChaCha20-Poly1305 で Doyensec の監査を受けていますが、AI機能はその暗号化の枠の外にある OpenAI、Anthropic、Google へテキストを送ります。Apple のハードウェアを使っていないなら、答えはすでに決まっています。
Apple Notes の代替として最適なアプリは何ですか?
なぜ離れるのかによります。マルチプラットフォームと本格的なリンク機能が欲しいなら、Obsidian が最も近い乗り換え先で、しかも無料です。共有ワークスペースが欲しいなら Notion です。Apple Notes の素朴さは好きだけれど構造も欲しいなら、Capacities にはノート数無制限の無料プランと、型付きオブジェクトのモデルがあります。ただし Apple Notes 自体もノート間リンクと Markdown エクスポートを手に入れたので、差は以前より小さくなっています。
オフラインで使えるノートアプリはどれですか?
Obsidian はノートがローカルファイルなので既定でオフラインで動き、同期のほうが任意のレイヤーです。Notion は2025年8月から全プランでデスクトップとモバイルのアプリがオフラインに対応していますが、ブラウザでは使えず、データベースは先頭50行に限られます。Capacities は無料を含む全プランでオフライン対応を明言しています。Evernote は Free を含む全プランでオフラインモードを掲げていますが、Free は同時に1台までしか同期できません。多くの比較記事が飛ばす観点なので、決める前に必ず確認してください。
Evernote は2026年もまだ使う価値がありますか?
すでに何年分ものノートがあるなら、答えは「はい」です。2026年1月のバージョン11でAI検索とAI議事録が加わり、開発も続いています。ただし新規に選ぶ先としては正当化しづらいところです。無料プランはノート50件、ノートブック1冊、端末1台で、Advanced は年$249.99と、1人あたりで Notion Business より高くつきます。旧プラン名は廃止され、戻す方法もありません。
Glasp は Notion や Obsidian の代わりになりますか?
なりませんし、そのつもりもありません。Glasp はウェブ、PDF、Kindle、YouTube のための保存とハイライトのレイヤーです。読んだ内容を、すでに使っているアプリへ流し込みます。読むものすべての玄関口が Glasp で、アイデアが住む部屋が Notion や Obsidian だと考えてください。設計上、両者は補い合う関係です。
まとめ
2026年の結論に単独の勝者はいません。これらのアプリは、異なる軸で競っているからです。Obsidian はデータを自分のものにしたい人にとって最良のローカルファースト型ツールで、しかも無料です。Notion は年払いでメンバー1人あたり月$10の、最良のチーム用OSです。Capacities は最も寛大な無料プランを持ち、Reflect は暗号化で最も強く、Evernote は最も成熟したクリッパーと最も魅力に欠ける価格を併せ持ち、Mem はノートそのものを従量課金にしたことで、汎用のノート用途からは価格的に外れました。自分の最大の制約と、それを解くツールを突き合わせてください。機能のチェックリストは無視してかまいません。
そのうえで、他のどの比較記事も空けたままにする隙間を埋めてください。ノートがどこから来るのか、という問題です。知的な仕事の多くは読むことから始まります。だからこそ、最初に正しく整えるべきはそのレイヤーです。Glasp で読みながらハイライトし、残したものを上で選んだアプリへ送りましょう。
仕組みそのものの作り方をさらに深く知りたい方は、パーソナルナレッジマネジメント と セカンドブレインの作り方 のガイドをお読みください。住まいを選び、保存の配管をつなげば、ノートアプリはようやく自分で中身を満たしていきます。