これほどの世界規模の危機が出没しだすと、知識人たちはきまって、大々的な知的改心、あるいはひょっとして「霊的」改心をなす以外に、つまり、異なった世界観や自己像を採用する以外に、助けとなるものはない、と申し立てる。そうした申し立ては馬鹿げているとわたしは思う。哲学であれ宗教であれ現状に対する助けとなるようなものを提示できるとは、わたしは考えない。むろん、現状の根っこは強欲と利己にあると述べることはできるが、それは真実であるにしても、あたりまえのことにすぎないし、人類の歴史上の他の悲惨な出来事もたいていその根っこはおなじなのだ。しかし、強欲と利己は突然の知的ないし宗教的改心によって除去されるものではない。(『ユートピア』viii頁)
こうした語りをする晩年のローティは、やはりかつての血気盛んだった頃と変わらず、「アンチ哲学」の徒であり続けています。現状を嘆き、根本的な価値転換を謳い、本質的な解決といった空手形を切って大衆に「改心」を迫るような「知識人」たちの身ぶりを、老いたローティは肩をすくめながら、しかし真剣に戒めています。










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