はじめに 「劇伴」と書いて「ゲキバン」と読みます。「劇の伴奏」を略した言葉で、主に映画やテレビドラマ、アニメなどの背景に流れる音楽の意味で使われています。「サウンドトラック( サントラ)」「BGM( 背景音楽)」と呼ばれることもあります。 もともと「劇伴」は音楽業界や放送業界で使われる業界用語でした。
劇伴音楽とは劇や映像のバックに流れる音楽のことです。 といっても、特に音楽に注意して映画やアニメを観ているという人でなければイメージが湧かないと思いますので、この章では、劇伴とはなんなのか? ふつうの音楽とはどのように違うのかをまず説明します。
(1)劇伴とは 『スター・ウォーズ』の音楽 劇伴とはどんな音楽か? 例を挙げて説明しましょう。 映画『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』( 以下、初回公開時にならって『スター・ウォーズ』と表記します)を観たことがある人は多いでしょう。1977年( 日本では翌 78 年)に公開された「スター・ウォーズ」シリーズの制作第1作。SF映画の歴史を変えたと言われる名作です。
「劇伴」と「サウンドトラック」はどう違う? 『スター・ウォーズ』のような映画の音楽は、一般に「映画音楽」「サウンドトラック」と呼ばれます。「劇伴」と似た意味の言葉ですが、どう違うのでしょうか? 映画音楽は文字通り「映画の音楽」のことです。主題歌や挿入歌も含めて、映画のなかで使われる音楽全般を指します。
サウンドトラックは「映画音楽」と近い言葉で、もともとはフィルムの横に記録された音声トラックを指す言葉でした。それが映画の音声全体を意味する言葉として使われるようになり、さらに、映像に付随する音楽を指すようになりました。近年はゲームの音楽を指す言葉としても「サウンドトラック」が使われています。
「劇伴」という言葉をめぐって ところで、「劇伴」という言葉はいつから使われているのでしょう? 結論から言えば、正確にはわかりません。なにぶん業界内で使われていた言葉なので、文献や記録が残っていないのです。 「劇伴」に類似した言葉としては映画の背景音楽を指す「伴奏音楽」があります。
劇伴音楽の特徴 劇伴音楽( 映像音楽)には、一般的な音楽には見られない特徴があります。 まず、劇伴音楽は厳密に言えば「音楽のジャンル」ではありません。レコード・CDショップでは、クラシック、ロック、ジャズなどとともに「サウンドトラック( あるいは映画音楽)」が並んでいますが、ほかの音楽ジャンルとサウンドトラック( 劇伴)は同列には語れません。
(2)劇伴の魅力 なぜ劇伴音楽を聴くのか? 本来、音楽だけで聴かれることを想定していない「劇伴音楽」ですが、古くから人は舞台音楽や映画音楽を愛し、音楽だけを切り離して聴いてきました。なぜなのでしょう? ひとつには、劇伴音楽が作品と分かちがたく結びついていることがあります。
冒険する音楽 もうひとつ、劇伴音楽には純粋に音楽としての魅力、面白さがあると筆者は考えます。 日常では起こらないような出来事、現実を超えた空想の世界などを表現するために、劇伴音楽の作曲家はさまざまな音楽を取り入れ、ときには既存の音楽のルールや常識にとらわれない表現を工夫してきました。
(1)ミッキーマウスとキング・コングが映画音楽を変えた 初期の映画音楽 映画の誕生は1890年代。当初は音の付いていない「サイレント映画( 無声映画)」でした。しかし無音で上映されたわけではなく、生演奏による伴奏音楽が付けられていました。映画に合わせて即興演奏が行われたり、既成のクラシック音楽や映画伴奏用に作曲された音楽が流されたりしていたのです。これを最初期の映画音楽と呼べるでしょう。










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