歴史を学んだとき、 あなたはこう思いませんでしたか? 「昔の女性は従属し、時代とともに少しずつ解放された」 ──そんなシンプルな物語。 でも、本当の歴史はもっと複雑で、もっと面白い。 声を上げ、創造し、闘った女性たちが確かに存在したのに、 その姿は長い間、見えなくされてきました。 この本は、その「見えなかった歴史」に光を当て、 世界の見方をひっくり返す旅へと、 あなたを誘います。
イントロダクション ・ 女性たちは決して黙っていなかった 学校で教えられた歴史は、こういう筋書きだった。 「昔の女性は全面的に従属していたけれど、時代が進むにつれて徐々に解放され、いまや自由に平等を求めて歩んでいる」──めでたし、めでたし。 ……でも、そんなに単純じゃない。というより、かなり違う。歴史の一部は、きれいに〝修正〟されていたのだ。
もし歴史に女性が登場しないとしたら、それは子育てや家事、料理に忙しかったから──という〝お決まりの〟説明つき。 でも、それは間違っている。 まず、女性たちが自由に生きられた時代はちゃんとあった。
この本では、わたしがたくさんの女性の歴史研究者の名を引用していることに気づくだろう。わたしの願いは、彼女たちの仕事を知ってもらい、そしてその情熱に「敬意」を表すること。ちなみに「オマージュ(hommage)」というフランス語、語源は「男性(homme)」だって知っていましたか? 時代が時代だからしかたないけれど、そろそろ「ファマージュ(femmage)」と呼んでもいい頃かもしれない。
1 ・ 先史時代、女性は存在していたの? 先史時代の人=洞窟にいる大男 わたしは小学二年生、まだ八歳で、ジーンズをはき、筆記具入れはハローキティちゃん。女性教師がわたしたちに言う。「さあ、みなさん! 歴史の教科書の一二ページを開いてください」。わたしはけっこう興奮している。早く歴史の授業を受けたくてたまらない。
教科書はウソをついていた? 当時──一九八〇年代──の歴史の教科書では、男たちは火をおこし、道具を作り、動物を殺すための 投 槍 器 を使い、大型動物を捕獲するために巧妙な罠をしかけ、空いた時間は、洞窟のなかで傑作となる壁画を描いていた。わたしたちの世代はそう教えられていた。それはテレビも同じだった。
初期の先史学者たちは、彼らが知っていた当時のパリやベルリン、ロンドンの社会組織を想像してコピーしただけだったのだ。現在、多くの専門家がこの前提をくつがえし、考古学を新たな視点でとらえるために研究をしている。けれどもこれらすべてを、わたしが生徒だったときは知らなかった。素直で単純だったわたしは、学校で教えられたことはすべて本当のことだと思いこんで人生をスタートした。
ここで洞窟のなかで縮こまっていた神経症っぽい心霊体の話に戻り、そして彼女をガブリエルと名づけよう。 ガブリエルには、だから、何世紀ものあいだ誰も注意をはらってこなかった。というより、彼女に興味が向けられたのは、まさについ最近のことなのだ。これはわたしの大スクープ! と、あなたに言えることが嬉しくてたまらない。
先史時代の時間スケールはとてつもなく長い 人類が進化したのは約三〇〇万年前からだ。 一般に先史時代は三つのブロック、旧石器時代と、中石器時代、新石器時代(旧石器時代そのものも前期、中期、後期と分けられている) に分けられている。ちなみに後期旧石器時代(わたしたちにもっとも近い) にしぼっただけでも、三万年もある。こうなると近年の歴史のような数世紀の尺度は通用しない、数千年単位だ。
「女性は狩りをしなかった」と信じている人へ 同じように先史時代も、森林地帯をゆったりと横断する大河のようにのどかな流れではない。女性の歴史家のクローディーヌ・コーエンが指摘するように、先史時代の女性はひとりではなく複数だ。よく話題になる質問の一つをあげてみよう。










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