まえがき こんにちは、山口周です。本書を手に取っていただき、ありがとうございます。 本書の目的は、 リーダーシップに関して 蔓延 している「危険な誤解」を解き、読者の皆さんに「文脈=コンテキスト」という、リーダーシップについて考える新しい視点を与えること
リーダーシップについて書かれた書籍や論文はごまんとありますが、それらの多くが「優れたリーダーは○○をする」という考え方、すなわち「 行為論 としてリーダーシップを捉える」という考え方に立脚しています。近年であれば「優れたリーダーはビジョンを示す」「優れたリーダーは仕事を任せる」「優れたリーダーは部下の話を傾聴する」といったあたりが典型
・優れたリーダーと凡庸なリーダーの違いは「行為」によって生まれる ・優れたリーダーの「行為」と逆のことをするのが凡庸なリーダーである ・優れたリーダーの「行為」をしないのが凡庸なリーダーである
ここで大胆な仮説を立ててみましょう。その仮説とは、すなわち、 優れたリーダーと凡庸なリーダーを分ける決定的な差は、行為そのものではない というものです。
両者の違いが「行為そのもの」によって生まれるのでなければ、では何によって生まれるのでしょうか。本書では、両者の違いは「 文脈=コンテキスト」によって生まれる、と考える立場をとります。
リーダーシップという現象は「行為そのもの」ではなく、部下による「行為の意味づけ」によって発現します。 だとすれば、いくら「優れたリーダーの行為」を列挙し、それを模倣しても、リーダーシップの発現が期待できないのは当然のことでしょう。
それでは、一緒に歩き出しましょう。「行為」ではなく「意味」へ、コンテキストという概念によって開かれる、新たなリーダーシップの探求へ。
第一章 コンテキストとリーダーシップ 「最高のリーダー」と「最悪のリーダー」 図1を見てください。これは私が実施した、あるワークショップにおいて「最高のリーダーの言動」と「最悪のリーダーの言動」について、過去の業務経験を棚卸して作成してもらったリストです。
「最高のリーダー」と「最悪のリーダー」は紙一重 そう、これら二つのリストには、言葉遣いは大きく違っているものの、「行為そのものの内容」として区別するのが非常に難しいものが含まれている のです。
リーダーシップの「二重の矛盾」 このように考えていくと、実は先ほどのリストには「 二重の矛盾」が含まれていることがわかると思います。 一つ目の矛盾は、先述した『「任せる」と「丸投げ」』の関係のように、明示的に区別のできない二つの行為が、片方は「最高のリーダーの行為」として、片方は「最悪のリーダーの行為」として認識されている、ということ。










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