本書は、コーチングを〝相手から答えを引き出す技術〟ではなく〝問いを2人の間に置き、一緒に探索し、その中で相手の発見をうながすもの〟と再定義する点に最大の特徴があります。著者・鈴木義幸は、コーチを〝人の主体的な行動をうながし、相手の中にある情報を一緒に探索・発見し、未来に向けた原動力に昇華できる人〟と位置づけ、〝未来を創り出す主体的な人材を創る〟ことをコーチングの本質と語ります。
基本公式は明快です。
この3つのパートを貫くのが、抽象的な言葉を具体的にほぐす チャンク・ダウン と、具体を束ねる チャンク・アップ という技術です。
さらに本書は対話の土台として〝安心感で人を動かす〟という哲学を据えます。同じ言葉を繰り返す、あいづちを磨く、自分の気持ちを正直に伝える、〝出会いの一言〟を大切にするといった信頼構築の具体策が並びます。質問では〝なぜ〟ではなく〝なに〟を使い、〝小さい質問〟から慣らし、沈黙を意図的に共有する。さらに〝not want〟から〝want〟を探る、視点を変える質問で夢に気づかせる、行動の先の〝いいこと〟をイメージさせる、10点満点で現状を採点するなど、実践的なスキルが体系化されています。
相手をコントローラー・プロモーター・アナライザー・サポーターの4タイプで捉える視点、〝I〟の立場でほめるアクノレッジメント、不満を提案に変える姿勢も重要です。最終的に〝人を動かすのはエネルギーである〟とし、信頼と信用の違いにまで踏み込みます。改訂版ではチームや組織における〝問いの共有〟という応用も加えられています。
コーチングはあくまでも、問いを2人の間に置き、一緒に探索しながら、相手の発見をうながしていくというアプローチ をとります。 本書を2000年に執筆したときは、この〝相手の発見をうながす〟というところにとても強いフォーカスを当てました。 そのために、本文中では〝引き出す〟という言葉を多用しました。当時は〝引き出す〟という言葉で、こちらから言うのではなく〝相手の中にある可能性を顕在化させるのだ〟ということを強調したかったのです。 ですが、聞きようによっては〝引き出す〟という言葉は、別の意味を持ちかねません。 こちらは経験がある人、わかっている人、スキルを持っている人。さあ、あなたはまな板の上に乗ってください。私が引き出して見せますから……。そうもとられかねません。 このことはずっと気になっていました。 今回、思い切って〝引き出す〟という表現を削除し、別の表現に変えています。 単に言葉を変えただけでなく、〝コーチングとは、問いを2人の間に置き、一緒に探索し、その中で相手の発見をうながすもの〟だということを、本書を貫く哲学としてど真ん中に置いています。
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〈望んでいる状態(目標) =現在の状態+行動〉 これがコーチングをするときの基本公式です。 まず〝望んでいる状態〟をきく。 最初は漠然とした答えが返ってくるでしょうから、前に紹介したチャンク・ダウンというスキルによって、より具体的にしていきます。 具体的になればなるほど、すなわち望んでいる状態が細部にまでわたってはっきりすればするほど、未来は魅力的になります。 次に〝現在の状態〟をきく。 やはりここでもチャンク・ダウンによって、より具体的に現在なにが起きているのかをとらえていきます。 そして最後にまたチャンク・ダウンによって行動を一緒に見つけ出していきます。 いつ、どこで、誰と、なにを、どのようにするのか、その行動が明確にイメージできるまで詳細にきいていきます。このように3つのパートにおいて、前に述べた〝かたまりをほぐす〟という技が威力を発揮します。 これに〝かたまりにする〟という技が加わると、さらにコーチングは強力になります。 チャンク・ダウンに対して、〝かたまりにする〟ことを チャンク・アップ と呼びます。 チャンク・アップはチャンク・ダウンと反対で、いくつかの小さなものを大きなかたまりにまとめあげること。具体的なものの集まりから、抽象的な概念を抽出することをいいます。 チャンク・アップは2つのパートで主に使います。ひとつは〝望んでいる状態〟で、もうひとつは〝行動〟です。 望んでいる状態が具体的になったあと、それをもう一度短い言葉にまとめあげるために相手に問いかけます。 「一言にまとめると、どういう状態を達成したいということなんだろう?」 とるべき行動がいくつか詳細に決まったら、やはり問いかけます。 「やることが3つ決まったけど、その3つを確実に実行に移すために、いつも持ち歩ける、支...
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コーチングの基本的な哲学は〝安心感で人を動かす〟 というものです。アメやムチで相手を動機づけるのではなく、安心感をおたがいの関係の中につくり出し、それを相手が行動を起こすための土壌とします。 相手に安心感を与える非常に強力な方法が〝同じ言葉を繰り返す〟ことです。語尾だけを繰り返してもよいし、あるいは「そうだよね」などの文で置き換えてもかまいません。 〝同じ言葉を繰り返す〟ことは、相手の意見に賛成するということではありません。 相手が今そういう状態にあることを認める ということです。
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コーチングは〝なぜ〟のかわりに〝なに〟を使うことを提案しています。それは〝なに〟を使った質問のほうが、内側にあるものの発見に至りやすい からです。 〝なぜ〟といわれると、現実を客観的にとらえその理由をあげるというよりは、とりあえずそれ以上攻撃されないように防御壁を築きたくなります。
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〝大きい質問〟に答えるには、自分の意識を深く内側に入りこませる必要があります。 それまで基本的には外に向いていた意識を、急に深い内側に入れるのは、ちょうど朝起きたばかりでまだ体が眠っているような状態のときに、いきなり牛丼を食べさせられるような不快感があります。相手との間に深い親密感がなければなおさらです。 人は基本的に不快なことはなるべくしたくないわけですから、まずは 相手の意識を〝小さい質問〟で慣らす 必要があります。 上司であれば部下に、相手が抵抗感なく答えられる質問をいくつかします。 「昼飯、食べた?」 「子どもいくつになったんだっけ?」 「そのスーツいいねえ。どこで買ったの?」 意識を徐々に内側に入れていきます。それからです。〝大きい質問〟をしていいのは。 相手に多くの発見をうながすにはまず〝小さくて必ず答えられる質問〟からしていく。それが鉄則です。
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コーチングで最も大事なのは〝発見をうながす〟ことです。 相手の中にある、相手さえもそこにあると気づいていない内側の情報を〝一緒に探索〟して、見つけ出していく。そして〝共に発見〟した情報を、未来に向けた新たな行動の指針となる知識に変えていく。 あなたの部下や顧客は、仕事をうまくいかせるための十分な情報を、自らの中に持っているかもしれません。誰かがそれを〝発見する〟ことを手伝わなければ、永遠に口にされることのない思いや考えが内側にあるかもしれません。 探索の伴走者となってくれる人がひとりいるだけで、その人の人生はずっと力強いものになる でしょう。
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だからコーチングでは「なぜ目標達成しなかったんですか?」ではなく「なにが具体的に目標達成の障害になったんですか?」 とききます。 すると相手は客観的に目標への障害をあげることが可能になるのです。
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コーチとは〝人の主体的な行動をうながせる人〟〝相手の中にある情報を一緒に探索、発見し、未来に向けた原動力に昇華することのできる人〟です。
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行動のプロセスではなく、その行動の先の〝いいこと〟をイメージする。 そうすれば、驚くほどすっと行動を起こすことができます。 〝いやな感じ〟がやってきたと思ったら、その行動によって自分が手に入れるものに「スパーン!」と絵を切り替えてみてください。
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コーチングの本質は〝未来を創り出す主体的な人材を創る〟ことにあります。 今、目の前にいる人の主体性に働きかけ、その人が、未来に向けて飛躍するように、いかに自分のコミュニケーションを使うことができるのか――それがコーチングが目指すところであることは、おそらく普遍的であると思い
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17人の読者ハイライトを分析した結果、基本公式・チャンク・ダウン・安心感といった核心概念に高い集中が見られ、実践書として強い支持を得ています。
Glasp AI analysis based on highlights from 17 readers.
部下を育てる マネージャー・管理職、後進を指導するスポーツや医療の コーチ・リーダー、生徒や我が子と向き合う 教師・親 に最適です。「指示しても動かない」「相手の主体性を引き出したい」と悩む人、1対1の面談やチームの対話を活性化させたい人に響きます。心理学の前提知識は不要で、コーチング初学者から、自己流を見直したい経験者まで幅広く役立つ実践書です。










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