本書は、人間は単に不合理なのではなく、予想どおりに不合理であると示す行動経済学の入門書です。読者のハイライトで特に強く支持されているのは、私たちが物事を絶対的な基準ではなく、相対的な比較で判断してしまうという主張です。欲しいものや適正価格、自分の好みでさえ、周囲の選択肢や先に見た情報との比較で形づくられます。
そのため本書では、意思決定をゆがめる代表的な仕組みが実験を通じて説明されます。
もうひとつの大きな柱は、社会規範と市場規範の違いです。人間関係や協力の場では、お金を持ち込むことで善意や共同性が壊れやすく、しかも一度市場規範が入りこむと社会規範は戻りにくい。贈り物、職場、ボランティア、家族関係まで、この原理が広く働くことが示されます。
さらに本書は、所有物の過大評価、損失回避、期待や先入観が体験そのものを変えること、感情が高ぶった状態では冷静な自分の予測が当てにならないことも扱います。
結論は悲観ではありません。自分の弱点を知り、最初の決定や比較対象、金銭の持ち込み方を見直せば、私たちはよりよい選択に近づける、というのが本書の実践的なメッセージです。
まずは、基本的なことを押さえておこう。大半の人は、自分の求めているものが何かわからずにいて、状況とからめて見たときにはじめてそれがなんなのかを知る。たとえば、自分がどんな競技用自転車を欲しいのか、ツール・ド・フランスの優勝者があるモデルに乗ってギアを切りかえている姿を見てはじめてわかる。自分がどんなスピーカーを欲しいのか、いま持っているものより音のいいスピーカーを聞いてはじめてわかる。自分がどんな生き方をしたいのかさえ、親戚なり友人なりの生き方がまさに自分のとるべき道だと思えてはじめてわかる。すべてが相対的、これにつきる。わたしたちは、暗闇のなかで飛行機を着陸させるパイロットと同じで、車輪を接地できる場所まで誘導してくれる滑走路の両側の明かりが必要なのだ。
Highlighted by 12 people
浮かぶ)、人間の行動について重要なことを知っていたのだろう。人間は、ものごとを絶対的な基準で決めることはまずない。ものごとの価値を教えてくれる体内計などは備わっていないのだ。ほかのものとの相対的な優劣に着目して、そこから価値を判断する(たとえば、六気筒の車にどれだけの価値があるかわからなくても、四気筒モデルより高いだろうことは想像できる)。
Highlighted by 10 people
これは、わたしたちみんなが活用できる教訓だ。人は持てば持つほどいっそう欲しくなる。唯一の解決策は、相対性の連鎖を断つことだ。
Highlighted by 10 people · 2 left notes
自分の決断がほんとうは直感、つまり胸の奥底で望んでいるものから来ている場合、わたしたちはときに、その決断が合理的に見えるように仕立てたくなるということだ。
Highlighted by 9 people · 1 left notes
値の張るメイン料理をメニューに載せると、たとえそれを注文する人がいなくても、レストラン全体の収入が増えるということだ。なぜだろう? たいていの人は、メニューのなかでいちばん高い料理は注文しなくても、つぎに高い料理なら注文するからだ。そのため、値段の高い料理をひとつ載せておくことで、二番めに高い料理を注文するようお客をいざなうことができる(そして、二番めに高い料理からより高い 利鞘 を確保できるよう調整しておくこともできる( 1))。 おとり
Highlighted by 7 people
つまり、入店の経験がほかとはちがったものになるように、できることをすべてやった。ほかとはかけ離れた経験にすることで、わたしたちがダンキンドーナツの価格をアンカーに使わずに、かわりにスターバックスが用意した新しいアンカーをすんなり受けいれるように全力をつくしたのだ。これがスターバックスの成功におおいに貢献している。
Highlighted by 7 people
この実験は悲しい事実を物語っている。社会規範が市場規範と衝突すると、社会規範が長いあいだどこかへ消えてしまうのだ。社会的な人間関係はそう簡単には修復できない。バラの花も一度ピークが過ぎてしまうともうもどせないように、社会規範は一度でも市場規範に負けると、まずもどってこない。
Highlighted by 7 people · 2 left notes
比べやすいものだけを一所懸命に比べて、比べにくいものは無視する傾向がある。 ちょっとややこしいかもしれないので、例をあげよう。たとえば、はじめての町で家を買うとする。不動産業者が見せてくれた三つの物件は、どれもなかなかよさそうだ。ひとつは現代風の建物、あとのふたつはコロニアル様式の建物だ。三つ
Highlighted by 6 people · 1 left notes
相対性は(相対的に)理解しやすい。しかし、相対性には、絶えずわたしたちの足をすくう要素がひとつある。わたしたちはものごとをなんでも比べたがるが、それだけでなく、比べやすいものだけを一所懸命に比べて、比べにくいものは無視する傾向がある。
Highlighted by 6 people
要するに、プレゼントは経済効率が悪いものの、社会の潤滑油として重要だ。友人をつくったり、山あり谷ありの人生を通じて長くつづく関係を築いたりする助けになる。お金は、ときに無駄づかいする価値がじゅうぶんにあるのだ。
Highlighted by 6 people
Glasp上の35件の読者ハイライト分析では、相対性・アンカリング・社会規範と市場規範に強い共感が集中しており、実生活への応用可能性が高い一冊として受け取られています。批判的な反応は少なく、引用された箇所の再現性とわかりやすさが高評価につながっています。
Glasp AI analysis based on highlights from 35 readers.
消費者心理や意思決定のクセを知りたい人に最適です。とくに、商品設計や価格設定に関わるマーケター、営業、企画職、政策立案や制度設計に関心のある人、そして「なぜ同じ失敗を繰り返すのか」を知りたい個人に向いています。
経済学の専門知識はほぼ不要です。買い物、人間関係、仕事上のインセンティブ設計、習慣改善に本を役立てたい読者ほど得るものが大きいでしょう。










Import your Kindle highlights to review, organize, and share the ideas that matter most to you.
Get the free browser extension