本書は、アップルを追われたスティーブ・ジョブズが復帰し、瀕死の会社を世界一の企業へと再生させるまでの後半生を描く伝記第2巻である。物語の核には、ジョブズが13歳のヒューレット・パッカードでの夏休みに学んだ信念──「会社自体が最高のイノベーションになる」──があり、彼は利益ではなくすごい製品を原動力とする、いつまでも続く会社を作ることに情熱を燃やす。
復帰後のジョブズが最初に振るったのは、徹底した集中の力だった。製品ラインを「消費者/プロ」「デスクトップ/ポータブル」の4象限に絞り込み、3000人以上を解雇し、倒産寸前のアップルを立て直す。ビル・ゲイツとの和解、マイクロソフトの投資受け入れ、そして「シンク・ディファレント」キャンペーンによるブランド再定義が、その再生を象徴する。
後半は、ジョブズの一貫した哲学が次々と製品に結実する過程を追う。
これらの原則から、iPod、iTunesストア、iPhone、iPad、アップルストアといった、各業界を変革する製品が生まれていく。
同時に本書は、人をヒーローかまぬけに二分する激しさ、向き合いたくない問題を無視する性格、そして膵臓がんとの闘いと死生観も率直に描く。リベラルアーツとテクノロジーの交差点に立ち、先人の遺産に何かを付け加えたいと願った一人の男の、人間味あふれる記録である。
「我々も常識とは違うことを考え、アップルの製品をずっと買い続けてくれている人々のためにいい仕事をしたいと思う。自分はおかしいんじゃないかと思う瞬間が人にはある。でも、その異常こそ 天賦 の才の表れなんだ」
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長く存続する会社を作りたいとジョブズは考えており、そのためにはどうすべきかをマークラにたずねた。マークラは、長続きする会社は自らを再発明するものだ、と指摘する。ヒューレット・パッカードは何度も自社を再発明した──計測器の会社としてスタートしたが、のちに電卓の会社となり、そして、コンピュータの会社へと変化していったのだ。 「PC事業ではマイクロソフトに隅へと追いやられてしまった。なにかほかのことをする会社に再発明する必要がある。ほかの消費者製品とかほかの機器とか。蝶のように変態しなければならないんだ」 ジョブズはあまりしゃべらず、マークラの話にうなずいていた。
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その後何年もかけ、ジョブズはしっかりしたリーダーをアップル取締役会に迎えてゆく。アル・ゴア、グーグルのエリック・シュミット、ジェネンテックのアート・レヴィンソン、ギャップにJ・クルーのミッキー・ドレクスラー、エイボンのアンドレア・ユンなどだ。
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「アップルのコンピュータを買う人というのはちょっと変わっていると思う。アップルを買ってくれる人は、この世界のクリエイティブな側面を担う人、世界を変えようとしている人々なんだ。そういう人のために我々はツールを作っている」
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かつてリンゴ農園のコミューンにいたジョブズは、自分を──アップルも──カウンターカルチャーの子どもだとしてきた。「シンク・ディファレント」や「1984年」といった広告は、自分の反逆者的なところをあらためて主張する形でアップルブランドを位置づけるもので、ベビーブーム世代やその子どもたちにも同じように感じてもらうものだった。この方向性は若いころから一貫しているとクロウは言う。
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クレージーな人たちがいる。反逆者、厄介者と呼ばれる人たち。四角い穴に丸い杭を打ち込むように、物事をまるで違う目で見る人たち。彼らは規則を嫌う。彼らは現状を肯定しない。彼らの言葉に心を打たれる人がいる。反対する人も、称賛する人もけなす人もいる。しかし、彼らを無視することは誰にもできない。なぜなら、彼らは物事を変えたからだ。彼らは人間を前進させた。彼らはクレージーと言われるが、私たちは天才だと思う。自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが、本当に世界を変えているのだから。
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ジョブズががんばった背景には、息の長い会社を作りたいという情熱があった。ヒューレット・パッカードでアルバイトをした 13 歳の夏休み、ジョブズは、きちんと経営された会社は個人とは比べものにならないほどイノベーションを生み出せると学んだのだ。 「会社自体が最高のイノベーションになることもあるとわかったんだ。つまり、どういうふうに会社を組織するのか、だよ。会社をどう作るのかはとても興味深い問題だ。アップルに戻るチャンスを手にしたとき、この会社がなければ僕に価値はないとわかった。だから、とどまって再生しようと心に決めたんだ」
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ジョブズの得意技に〝集中〟がある。 「なにをしないのか決めるのは、なにをするのか決めるのと同じくらい大事だ。会社についてもそうだし、製品についてもそうだ」
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故ジョン・レノンの写真はオノ・ヨーコに頼んだ。しかし、送られてきたのはジョブズが好きな一枚ではなかった。 「広告を公開する前、ニューヨークでひいきにしている日本食レストランに行ったとき、そこに行くって彼女にも知らせておいたんだ」 はたしてジョブズのテーブルへオノ・ヨーコがやってきた。 「こちらのほうがいいわ」 そう言うと、ジョブズに封筒を渡す。 「あなたに会うと思ったから、こっちはわたしが持っていたの」 花を持つふたりがベッドに座っているすばらしい写真だった。アップルはこちらに写真を差し替える。 「ジョンが彼女を愛したわけがわかった気がしたよ」
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「友だちに勧めるとしたらどれにすべきなんだい?」 この質問に明快な答えが得られないとわかった時点で、ジョブズはモデルや製品の絞り込みに取りかかった。
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6人の読者によるハイライトをGlaspが分析した結果、本書はジョブズの経営哲学と製品思想が高い共感を集める良質な伝記だと評価できる。引用された言葉の多くが複数読者に響いており、強い推薦に値する。
Glasp AI analysis based on highlights from 6 readers.
経営者、起業家、プロダクトマネージャー、デザイナーなど、製品づくりと組織づくりの両方に関わる人に最適。とりわけ「何をしないか」を決める集中力や、ハードとソフトを統合する思想に関心がある読者に響く。リーダーシップやブランド戦略、イノベーションの源泉を学びたいビジネスパーソン、そしてジョブズという人物の人間的な複雑さ──激しさ、白黒思考、死生観──まで理解したい読者にも勧められる。第I巻を読んでいるとより深く楽しめる。
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