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インド外交の流儀:先行き不透明な世界に向けた戦略
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理想的なのは、中国の台頭がインドの競争心を刺激する契機となってくれることだ。そこまでいかなくても、少なくとも国際政治の方向性やそれがインドにもたらす意味をめぐって、真剣な論争を巻き起こしてくれるだろう。 この点が重要なのは、他にも注目すべき変化が進行中だからだ。大規模なリバランスがすでに始まっていることは明らかで、そこに広範な地域の不安定化やハイリスクを取る動き、これまでになく強烈なナショナリズム、グローバリゼーションへの拒否反応といった現象が重なるかたちで展開している。だが、決定的な意味を持つ変化は、長きにわたり現代の国際システムの中核をなしてきたアメリカの姿勢が変容したことだ。
グローバルな舞台に中国が大きな存在感をもって登場したことは、当然ながら反響をもたらした。その背景には、他の大国に起こるべくして起こった地位の変化がたしかにある。だが、中国の登場をもたらした要因の一つは、同国が他にはない特徴を有していることにある。それ以前にアジアで台頭した別の国とは異なり、中国は米欧主導の国際秩序に適合することがきわめて難しい国である。現代における二大大国は、長年にわたり政治的に互いの目的にかなう存在だった。だが、もはやそのような関係ではないというのが、今日の現実なのだ。 こうしたシナリオは、数々の戦略的課題をインドに突きつけている。重要なのは機敏に対処することであり、インドの利益という観点からアプローチする際にはとりわけそうだ。単にそれに対応するだけでなく、実際に活用して...
地政学と勢力均衡は国際関係の基礎をなしている。インド自身にも、この二つを重視するカウティリヤ的政治( 5) という伝統がある。現代史から教訓を導くとすれば、これらに向けられてしかるべき重点を置いてこなかったことにある。アジア・アフリカの連帯を掲げた一九五〇年代のバンドン会議時代は、ハードパワー軽視のコストがいかに高くつくかを思い起こさせてくれる。
インドの外交政策には、過去から受け継いだ三つの主要な重荷がある。第一に、一九四七年の印パ分離独立であり、これによって人口面でも政治面でも国家の力が削がれてしまった。これがもたらした意図せぬ結果として、中国にアジアにおいてより広い戦略的空間を与えることになったという点がある。第二に、経済自由化が中国に一五年後れをとることになってしまった。しかも、それが中国よりもかなり躊躇するかたちで展開されたのだった。経済力におけるこの一五年の差によって、インドは今でもきわめて不利な立場に置かれたままになっている。第三に、核保有を先延ばしにしてしまった。その結果インドは、本来ならはるかに容易かつ早い段階で確保できたはずの勢力範囲で、影響力を確立するために多大な労力を費やさなくてはならなかった。こうした課題が解...
今こそインドは、アメリカに関与し、中国をマネージし、ヨーロッパとの関係を深め、ロシアを安心させ、日本により大きな役割を発揮してもらい、隣国をわが国の陣営に引き込み、近隣地域を拡大し、従来型の友好国を拡充していくときなのだ。不確実性と不安定さを増す世界がもたらすチャンスとリスクについて、評価を下すことは容易ではない。構造的変化を受け入れるのはさらに難しく、レジームが縮小し、ルールが軽視されている状況下ではとくにそうだ。目標も、戦略も、戦術も、今やきわめて違ったものになっている。グローバルな価値が未形成であることは問題になるかもしれないが、それをすぐに代替するものがあるわけではない。
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