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• 「帝国国策遂行要領」案に、外交よりも軍事優先の主張が隠されていることを見抜いた天皇は、御前会議前日の五日、杉山参謀総長と永野軍令部総長を召致し、説明を求めた。有名なやりとりがあったのは、このときである。開戦の場合には、南洋方面は三か月で片付けると豪語した杉山に、天皇は、日中開戦当時陸軍大臣だった 汝 は、一か月ぐらいで片付くとしたが、四か年を経たのちも片付かぬではないかと反問したのだ。困惑した杉山は、中国は奥地が開けていて、予定通り作戦できなかったと釈明したものの、中国の奥地が広いというなら、太平洋はもっと広いではないか、いかなる確信があって、三か月というのかと、さらに切り込まれ、絶句してしまった。 　とはいえ、杉山・永野の両総長は、口頭で外交に重きを置くと言ったのみで、文書案には何の修正も...