Top Highlights

• が、軍人を、その職能、軍事の専門家としての能力から分析した研究は、日本においてはきわめて少ないのである。 　欧米の軍事史研究では（社会史的・日常史的に軍隊や戦争を扱う「広義の軍事史」に対する、従来の「狭義の軍事史」では、ということだが）、戦略・作戦・戦術の、「戦争の諸階層」（levels of war） に則して軍人を評価するのは、ごく普通の手法となっている。ところが、日本の研究にあっては、そうした軍事史的分析を行うものはごくまれで、多くは政治との関わりに集中し、軍人としての評価はなおざりにされているといわざるを得
• 古代や中世には、戦争を遂行するにあたっての思考枠組みとしては、 戦争 に勝つ策を定める「戦略」と、 戦闘 を有利に進めるわざとしての「戦術」しかなかった。「戦略」strategy の語源が「将帥の導き」、「戦術」tactics のそれが「配置」であると記せば、そのニュアンスがわかりやすくなるかと思う。 　ところが、近代になって、国民軍、一般兵役制による巨大な軍隊が出現し、戦争は時間的・空間的に拡大する。かかる変化とともに、「戦略」と「戦術」の二分法では、戦争を理解する、もしくは実行する上で充分ではなく、その中間の次元に「作戦」operation という概念を置くのが適当であると考えられるようになった。つまり、戦争に勝つための「戦略」を、戦場で実行する方策として「作戦」を立案・配置する。さらに...
• 総理大臣を大本営の中に入れて所謂ロボットにして、ファッショ的政治をする手段に内閣を使うということならば、もう絶対に海軍は反対で
• 「現平時編制中の連合艦隊航空部隊は、一指揮官をして、之を統一指揮せしめ、常時同指揮官指導の下に訓練し得る如く、速に連合艦隊内に航空艦隊を編成するを要す。 理由 　海戦における航空戦力の最大発揮は、適時適処に全航空攻撃力を集中するに在り。 而 して、右攻撃力の集中は、平時より全航空部隊を統一指揮し、建制部隊として演練し置かざれば、航空戦の特質上、戦時即応すること困難なり」。 「戦時、 我 航空母艦就役し、多数航空戦隊編成せらるるに至らば、主力部隊直属空母を除き、之を一指揮官の下に統一して航空艦隊を編成すること、絶対必要なる
• 　一九四一年秋、連合艦隊は、練習航空隊等から熟練搭乗員を引き抜き、実戦部隊に転属させるという策に出ている。長期戦に備えた搭乗員養成の観点から考えれば、教官要員までも前線に投入してしまうようなことは暴挙でしかないのだが、これもまた、縦深軍備、すなわち、生産力と補充の裏付けがある軍備が望めないことを知った山本が、短期の激烈な攻勢にすべてをつぎこむ戦略に転換したことの証左であると思わ