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現代ロシアの軍事戦略 (ちくま新書)
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ハイブリッド戦争」という言葉は、ウクライナ危機に際して発明されたものではない。この言葉を最初に用いたのは米海兵隊のジェームズ・マティス中将(のちにトランプ政権下で国防長官を務めたことで知られる) と海兵隊退役大佐のフランク・ホフマンであった。 米海軍の機関紙『プロシーディングス』に掲載された2005年の論文「将来戦──ハイブリッド戦争の台頭」(Mattis and Hoffman 2005) で両名が主張していることを、筆者なりに簡単にまとめてみよう。
もう一点見落としてはならないことがある。ハイブリッド戦争は様々な面で戦争の「特徴(character)」を変えはするものの、戦争の根本的な「性質(nature)」そのものを変えるものではない、とマティスとホフマンが指摘していることだ。両者は一見よく似た言葉であるが、実際には全く異なる概念であり、戦争研究においてはこの2つの区別が非常に重要な意味を持つ。 大雑把に言えば、戦争の「特徴」とは「戦場の風景」に関するもの、とでも表現することができよう。その原動力は新しい兵器、新しい戦術、新しい編制といった広義のテクノロジーであり、これが戦闘の遂行方法に革新をもたらした結果、従来は絶大な威力を誇った兵器や戦術が時代遅れとなったり、安全と思われていた場所が危険に晒されたり、負けるはずのない戦闘が大敗北...
ロシア軍は凄まじい追い上げをみせた。イスラエル製ドローンの導入とその国産化、さらには国産ドローンの開発に重点的な予算投入を行った結果、グルジア戦争から7年後の2015年には、ロシア軍には1720機ものドローンが配備されていたという。さらに翌年の2016年にはこれが2000機に増加したとされているから、1年で300機ほども増加した計算だ(いずれもロシア国防省発表による)。 その多くは兵士が手で放り投げたり、ゴムのカタパルトで発進させるごく小型の戦術ドローンであるが、効果は非常に大きい。現在のロシア陸軍では、旅団ごとに編成されたドローン中隊が偵察・監視、砲兵の照準といった「眼」の役割を幅広く担い、偵察機や斥候を出さずとも戦場の…
ハイブリッド戦争の語を広く人口に 膾炙 させた一つのきっかけは、ウクライナ危機の起きた2014年9月に英国のウェールズで開催されたNATO首脳会議、通称ウェールズ・サミットであろう。その最終日に発出された各国首脳による宣言では、「ハイブリッド戦争」が「高度に統合された設計の下で用いられる公然・非公然の軍事・準軍事・民間の手段」と定義され、このような軍事力行使を抑止するための態勢づくりがNATOの優先課題であるとされた。「アフガニスタン同盟」であったNATOが、冷戦後四半世紀を経て再びロシア抑止を真剣に考え始めたことになる。 実際の軍事態勢にも変化が生じてきた。最初に始まったのは高度即応統合任務部隊(VJTF) の設置で、ロシアがNATO加盟国に対してウクライナ型の侵略を仕掛けてきた場合、短...
大雑把に言えば、戦争の「特徴」とは「戦場の風景」に関するもの、とでも表現することができよう。その原動力は新しい兵器、新しい戦術、新しい編制といった広義のテクノロジーであり、これが戦闘の遂行方法に革新をもたらした結果、従来は絶大な威力を誇った兵器や戦術が時代遅れとなったり、安全と思われていた場所が危険に晒されたり、負けるはずのない戦闘が大敗北に終わるのである。実際、こうした事例は歴史上、枚挙にいとまが
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