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目に見えないもの (講談社学術文庫)
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しからばかような古代の物質観が、今日の物理学に立脚する物質観と、いかなる点において共通性を有し、いかなる点において異なるかを明らかにしたいと思う。今日の物理学において、極微に相当するものといえば、それは「素粒子」にほかならぬ。また 俱舎 論 では極微が集まって色・香・味・触の四 塵 を構成し、さらに集積して四大となるというのであるから、この四 塵 は原子あるいは分子に当たると考えられる。極微自身がすでに堅性・湿性・温煖性・動性をそなえているのであるが、その中である性質は強く、他の性質は弱い。したがって例えば堅性の強い極微が集まると、金石のごとき固形物となり、これが地界を構成すると考えられるのである。同様にして湿性は水界、温煖性は火界、動性は風界に対応すると考える。これに対して今日のいわゆる...
近代科学においても最近までは「原子」の不変性が信ぜられていたのであるが、今日のいわゆる素粒子なるものはもはやけっして恒常なものではない。それどころか、なかには中間子のように短時間で自然に他の種類の素粒子に転化してしまうものさえある。
考えられる。 このように考えてくると、この地上においては大変珍しい現象である元素の転換、中世からの長い夢であって、近年になってようやく実現された錬金術、それは星の世界では日常茶飯事であったのである。
しかし自然科学というものは本来、実体よりも、むしろ相互関係に関する知識を意味している。「物質とは何か」という問に対しても、直接その実体を示すかわりに、多種多様な自然現象の間にいかなる一般的関係が存在するかを明らかにすれば、それで一応の答になると考える。原子とか電子とかあるいは素粒子とかいう概念も、単に実体を指示するばかりでなく、諸現象を統一的に記述するために導入された記号的な意味を多分に持っているのである*。物質が多数の素粒子から構成されるといっても、素粒子自身は物質というべくあまりにも抽象的な存在である。それは色も香も持たない。硬くも軟かくもない。そればかりではない。大きさや形について語ることさえ、おそらくは無意味であろう。それはなんらかの意味で時間空間的存在であるとはいえるであろう。しか...
生物体は拡大装置の性質を持っている。それは外界の変化に対してきわめて敏感なことを意味するが、その反面において生物体は物理的化学的に見て、非常に不安定とならざるを得ないのである。外界の温度のわずかな変化、ちょっとした機械的打撃、少量の毒物の 嚥下、あるいは眼に見えない微生物の侵入によっても、機能の障害を 惹起 したり、生命を奪われたりする可能性がある。したがって例えば、猫の身体を量子力学的体系と 見 做 し得るとしても、それはいわゆる「閉じた体系」ではなく、始終外部系との相互作用があることを考慮せねばならない。その結果、猫の状態が完全に分かっているものとして量子力学的に取り扱うことは出来ず、種々の状態を同時に考慮した量子統計力学的方法を採用しなければならないことになる。前にも述べたように量子力...
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