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生の短さについて 他二篇 (岩波文庫)
www.amazon.co.jp/dp/B0928FC3X2
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神君アウグストゥス( 2) は、誰よりも多くの幸を神々が 賜った人であったが、安らぎが与えられることを願い続け、国政から解放されることを求めてやまなかった( 3)。人と会話を交わすときは、いつも決まって、閑暇が望みであるという話に戻っていった。やがていつかは自分のために生きたいという、この、虚妄ではあれ、甘美な慰みでみずからを慰めながら、彼は喜んで労苦に耐えていたのである。自分のその休息を威厳に欠けるものとも、これまでの栄光に 悖るものともするつもりはないと約した、元老院宛にしたためられた書簡の中に、私はこのような言葉を見つけた。 曰く、「しかし、今述べたことは、言葉で約束するよりは行動で実行するほうが立派に果たせる。とはいえ、切望してやまない閑暇の時をもちたいという欲求のあまりの強さに私は...
ところで、私の言うそうした人間には、とりわけ、他のことにはいっさい時間を使わず、ただただ酒と性のためだけに時間を浪費する者も含まれている( 1)。何かに忙殺される人間( 2) の中でも、彼らほど恥ずべきことに没頭している者はいない。
それゆえ、誰かが白髪であるからといって、あるいは顔に 皺 があるからといって、その人が長生きしたと考える理由はない。彼は長く生きたのではなく、長くいただけのことなのだ。実際、どうであろう、港から出た途端に嵐に 遭い、あちこち 翻弄 された 挙句、吹きすさぶ風が四方八方から代わる代わる吹きつけて、円を描くように同じところをぐるぐる 弄ばれ続けた者が長い航海をしたなどと考えられようか。むろん、彼は長いあいだ航海したのではなく、長いあいだ翻弄されたにすぎないのである。
年金や 施物 なら、人はさも大切に受け取るし、それを 貰うためには、みずからの労役や奉仕や勤勉を提供する。しかし、時間の価値を知る者は一人もいない。まるで ただ のものであるかのように、湯水のごとく時間を使う。だが、その同じ彼らが 病 の 床 に伏し、死の危機が間近に迫れば医者の 膝 にすがりつく姿を、あるいは、死罪の恐れがあれば全財産を使ってでも延命しようとする姿を見るがよい。彼らの心にある 情緒 の首尾一貫性のなさは、それほどに大きいのである。
曰く、「自然は動物にはこれほど長い寿命を恵み与え、人間の五倍も十倍も長く生きられるようにしておきながら、それに比べて、多くの偉業をなすべく生まれついた人間に定められた寿命はあまりにも短い」。われわれにはわずかな時間しかないのではなく、多くの時間を浪費するのである。
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