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反オカルト論 (光文社新書)
www.amazon.co.jp/dp/B08Z3YFT29
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「数学科に進学することは人生の多くのものを諦めるということである。言わずと知れた東大数学科の院試の難しさ、就職率の悪さ、学生間の関係の希薄さは言うまでもないが、加えて人間的な余裕をも諦めなければならない。数学の抽象度は日ごとに増し、数学科生は日夜数学のことを考えながら生きていくことを強いられる。某教授に言わせれば、『数学を考えようと思って考えているうちは二流である。無意識の夢の中でも考えられるようになって初めて一流である』だそう。そのような生活の果てにあるのは疲れ切った頭脳と荒廃した精神のみである」
そもそも科学者の思考は合理的なはずであり、彼らが非合理な信念を持つはずがないと思われるかもしれない。ところが、科学者の信念が正しくなかった事例は、過去、無数に存在するのである。
トムソンは、本来は複合的要因から導かなければならない結論を、たった二つの法則から(しかもその推定値が偶然近かったため)断定してしまった。これこそが「一流知識人」であればあるほど陥りやすい罠であり、要するにトムソンは、自分の持つ知識だけから結論を導くという「過信」に陥ってしまったわけである。しかも、いったん信じ込むと、むしろ知識人の方が自分の知性を総動員して自己の「妄信」を弁護しようとするため、さらに自分が間違っていることを自覚し難くなる。
トムソンと同じ時期にアメリカで活躍した天文学者サイモン・ニューカムは、「現在までに知られている物質、力学、物理力をどのように組み合わせても、人間が空中を長距離飛行するような機械を作ることは不可能である。この論証は、他のすべての物理学的事実の論証と同等に明らかである」と述べている。しかも、彼は、ライト兄弟が一九〇三年に人類史上初めて飛行機で空を飛ぶ少し前に、このように発言してしまったのである。
「手品師ならば誰でも、科学者こそが世界で最も騙しやすい観客だと答えるだろう。その理由は容易に理解できる。科学者の実験室では、何もかもが見たままだ。背景の鏡も、秘密の別室も、隠された磁石も存在しない。助手が化学薬品Aをビーカーに注ぎ入れるとき、こっそり別の薬品Bを代わりに入れるようなことはまずない。……科学者の考えることはいつも合理的だ。それまでずっと合理的な世界ばかりを体験してきたからだ。ところが手品の方法は非合理的で、科学者が全く体験しないような種類のものなのだ」
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