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民主主義とは何か (講談社現代新書)
www.amazon.co.jp/dp/B08L3JY5B2
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その際、全体を貫くキーワードとなるのは「参加と責任のシステム」です。人々が自分たちの社会の問題解決に参加すること、それを通じて、政治権力の責任を厳しく問い直すことを、民主主義にとって不可欠の要素と考えるからです。「民主主義を選び直す」ことは、そのための第一歩なのです。 これから述べていくように、今日、民主主義への信頼が大きく揺らぎつつあります。それだけに、「民主主義とは何か」を考え直すことが、とても大切なのではないでしょうか。それでは始めましょう。
第一に、政治において重要なのは、 公共的な議論によって意思決定 をすることです。言い換えれば実力による強制はもちろん、経済的利益による買収や、議論を欠いた妥協は政治ではないのです。また、仮に話し合いによる決定がなされたとしても、それが閉じられた場所において、特定の人々によってのみなされたものであるとすれば、政治的な決定とはいえません。あくまで「公共的な議論」が不可欠なのです。 第二に、公共的な議論によって決定されたことについて、市民はこれに 自発的
第二に、公共的な議論によって決定されたことについて、市民はこれに 自発的に 服従する必要がありました。公の場において自分たちで決定したことなのだから、その結果について、誰に強制されるのでもなく、自分で納得して従うべきであるというわけです。ここには政治において「納得」と、納得に基づく「自発的な服従」が重要であるという意味が込められています。それがあってはじめて政治の営みは、「開かれた社会的経験」の必要条件となるのです。逆にいえば、自ら決定に参加し、納得したものでなければ、いかなる決定にも従わないという古代ギリシア人の自主独立の精神がここにみられます。 このような「政治」の成立を前提にして、初めて民主主義は実現します。
自分たちはポリスのために戦っている、ならば戦争や外交を含むポリスの意思決定に参加し、発言する資格をもってしかるべきだろう。このような主張こそが、貴族支配から民主主義への移行を推進する原動力となりました(このような軍事的貢献を重視する考え方が、女性に市民の資格を与えない理由ともされました。ただし、たしかに兵士として武装して戦争に参加した女性はいませんでしたが、実際には、女性たちは何らかの形で戦争に参加していました)。
四つの危機を乗り越えて 最後に、序で指摘した現代社会の四つの危機について、展望を示してみたいと思います。四つの危機とは、ポピュリズムの台頭、独裁的指導者の増加、第四次産業革命とも呼ばれる技術革新、そしてコロナ危機でした。いずれも深刻であり、容易に解決策を示せないものばかりですが、本書の視座から指摘できることを述べておきましょう。
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