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• 直人は言葉に詰まってしまった。子供の想像力には驚かされる。そんなこと、考えたこともなかった。いや、自分だって子供の頃にはきっと考えたのだろうが、常識というものを身につけるようになった今では、そんなふうには考えなくなっていた。そのことがなぜだか少し悔しかった。 その悔しさのせいだろうか、直人の中にほんのちょっとした 悪戯 心が芽生えた。可愛い息子の好奇心を裏切りたくなかったせいもある。
• 草いきれ
• この子がよろこぶ顔が見てみたい。たとえ、それが嘘であっても、春翔がよろこぶなら、尻尾からトカゲが生えてくることにしてやりたい。直人の胸の奥に、そんな思いがこみ上げてくる。
• 手足がかじかみそうに寒い夜だというのに、目の前の光景が 陽炎 のように揺らめいている。こんなことをさせてはいけない。馬鹿げている。埋めるのをやめさせなければ、と思いながらも直人はただ立ちつくしていた。
• ハンマーを振り下ろすたびに、どういうわけか直人の身体の底から憎悪がわき上がってくる。まるで何か強烈な憎しみに共鳴するかのように。