Top Highlights

• 我々の社会が抱えている最大の格差 ｜ それは経済資本の格差ではなく「モチベーション」と、そしてその根底をなす「アート的な衝動*72」を持ちうるかの格差である。
• 現在、旧来の資本主義経済とは異なる動きを見せる概念が、インターネットを通じて広がり始めている。ベーシックインカム、オープンソース、クラウドファンディング、ブロックチェーン*119 ｜ これは「信頼」に基づいた協業や、計算プログラムによるインセンティブ設計によったガバナンスで駆動するシステムで、その根底にあるのは、自律的なシステムとそれに対する人間の「信頼」、およびそのコンポーネントとしての人間の信頼を可視化する評価経済や非中央集権型のコンピューティングによるエコシステムの枠組みだ。もちろんブロックチェーンの応用例（例えば仮想通貨）に見られるような非中央集権型のエコシステムが、プラットフォーム型システムよりコストが大きいことは留意しておく必要が
• 歴史的に見れば、全体主義は資本主義とは相反する関係にある思想だ。現在のインターネットプロトコルは、上層に「アイディアのオープンソース（技術革新のための仕様策定）」、下層に「インフラのオープンソース（オープンソースソフトウェア）」があり、インターネット企業に対する金融投資および市場経済における資本主義的側面はその中間位置で機能している。この意味では、現行の資本主義のピラミッド構造のトップとボトムは、オープンソースに挟まれている。このオープンソースと、資本主義の求める市場の寡占のためのアイディアの独占と秘匿の関係性は、本来は互いにアンチテーゼである。しかしここでは、相反するはずのその両者が、一つのシステムにつなぎ込まれることによって全体主義的な傾向を帯びながらドライブするという、不思議な構造が生...
• いずれあらゆる価値は、分散型の信頼システムとトークンエコノミーの価値交換手法によって技術に対しての投機マネーと接続され、オープンソースと資本主義市場の対立は、より密な経済的連携によって安定した構造へと軟着陸するだろう。それは新しい全体主義の形であり、そこでは西洋的なピラミッド構造ではない、東洋的再帰構造からなる「回転系自然なエコシステム」が形成されるはず
• 資本主義の持つ非倫理性の命題として「フォアグラを食べる行為に倫理的問題は存在しないが、フォアグラが食材として作られる過程は非倫理的である」というものがあるが、これと同様に、全体としては倫理を逸脱していないが、End to Endの過程において倫理を逸脱するといった、多種多様なケースが現れるだろう。