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経済成長主義への訣別(新潮選書)
www.amazon.co.jp/dp/B076ZK5V9Z
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ではどうすれば、この自己暗示から覚醒できるのだろうか。ひとつの先入観=世界観からどのようにして脱出できるのか。答えは決して難しくはない。ただそれを本当に実行するには多大な困難が伴うであろうが。 要は価値観を転換することなのである。ケインズが述べたように、重要なのは、価値観であり考え方なのである。世界についてのものの見方こそが、世界を動かすからである。もちろんそうはいっても、ひとつの社会のありようは、その社会のもつ自己イメージ、すなわち、その社会を下支えする価値観と不可分であろう。特定の価値観がある社会を支え、その社会がまたその価値観を再生産しているからである。
といっても、ここで本書の内容を丁寧に解説、紹介というわけにもいかないのだが、改めて簡単に要約すれば、シューマッハーが述べていることは次のようなことである。 今日、われわれは高度な工業社会を実現したが、それは、人間のもつ貪欲さや利己心や嫉妬心の上に築かれたもので、それは、人間の知性や本当の幸福や平静さを破壊し、やがて平和を壊し、文明を崩壊させるだろう。 しかもすべてを数量化し、GDP(国内総生産) や成長率のような計量可能でわかりやすい数値に変換する誤った専門学問としての経済学がますます事態を悲惨なものにしてゆく。実際には、再生不能な自然資源の制約があり、際限なき成長などありえないにもかかわらず、誰もそのことを直視しようとしない。資源は無尽蔵であるかのように、われわれはひたすら生産活動の規...
「ある国の国民総生産が五パーセント伸びたことが実証されたとして、ではその伸びはよいことなのか、悪いことなのかと質問されると、経済学者は答えを避ける。そのような疑問を抱いただけで、まったく自信を失ってしまう。国民総生産の伸びは、何が伸びたのかとか、その利益を得たものはだれなのかということと関係なく、善に決まっていると彼らは考える。病的な成長、不健全な成長ないしは破壊的な成長もありうるという考えは、抱いてはならないのである。」 「ある意味では、成長を信じない人は一人もいない。そして、成長は生命の本質である以上、それが正しいのである。しかしながら、問題の核心は成長の概念を質的に限定することにある。というのは、現実には、あるものは成長しなければならないが、同時に退行していくべきものも多いからであ...
アメリカの市場競争論が高度な数学を使用することができたのは、数理的分析に適するような基本前提がおかれていたからである。 その基本前提とは次のようなものである。 (1)人々は合理的に行動する。合理的行動とは、いまここでの所与の市場条件のもとで自己利益の最大化をはかるものである。 (2)市場経済は閉鎖的な体系であり、政治や社会や文化はさしあたって問題としない。 (3)人々の幸福は、消費者として市場で供給されるモノやサーヴィスの購入量を適切な形で最大化することで得られる。 (4)経済問題とは資源の稀少性のもとで生産や人々の満足を最大化することである。この問題は普遍的な問題であるから、経済学の回答も普遍性をもつ。 これが市場競争論の前提であり、この前提があって初めて経済学は高度な数学を導入し、誇...
(1)人々は決して合理的に行動しているわけではない。特に重要な意思決定は合理的選択などではない。人は理念や理想や信条に従って行動するもので、消費者としての利益最大化などさして重要な行動モデルではない。 (2)市場経済は、その国の政治過程や政府の性格(強い政府であるか、人々の信頼を得ているか、民主的であるか等々)、社会構造(家族や地域のあり方、企業組織の意味付け、医療や教育など)、さらには文化(幸福についての人々の価値観や知識層の影響力など) と決して無関係ではない。それどころか、密に関係しているからこそ、各国によって市場経済の意味や制度が違ってくる。 (3)人々は、ただ消費者としてモノを買い自己の満足を最大化するというより、他者との関係という「社会関係」の中で生きている。たとえば、他人から多...
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