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人間をお休みしてヤギになってみた結果(新潮文庫)
www.amazon.co.jp/dp/B076ZJXJ76
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この光景は、僕の今を上手に要約していると思う。僕以外の大人は目的を持ちつつ前に進み、成長し、仕事に向かい、キャリアを確立し、大人としての生活を送っている。そして僕はといえば、ここに座ってコーヒーを飲み、姪っ子が飼っているノギン君(犬)が、通りに落ちている汚いものを食べないように目を光らせるという、一日の中で最も重要な任務を遂行しているというわけだ。僕は今、三十三歳という年齢で、(ちゃんとした)仕事がないことが最近になって少し心配になってきた。だって、だって、普通は「将来」ってものがあるでしょ。そりゃ、フリーランスのデザイナーとして、 今のところ は、なんとか食べることは出来ているけれど、そう遠くない将来、自分の未来の家族を養うっていう必要も出てくるかもしれないじゃないか。僕は成熟した大人の男...
こういう悩みは、いわゆる自己陶酔型のもので、本当に心配しなくちゃならない様々なことがらに比べれば、笑っちまうぐらいちっぽけなものだ。次の食事の心配をしなくていいんだから、ありがたいことさ。でも、それがどんな悩みだとしたって、僕の悩みであり、今となっては悩みの方が僕を心配するまでになってしまった。
そしてとうとう、命を落とした家族のもとを去る時には、木の葉や枝でその亡骸を 覆うという。象の家族の行動パターンは、密猟者などによる暴力的な死や 淘汰 の後、通常の状態に戻るまで数年もかかり、それは彼らがPTSD(心的外傷後ストレス)のようなものに苦しんでいるということを示している。限られた種ではあるがイルカ、チンパンジー、そしてゴリラなどは、畏敬の念を持って同じ種の遺体を扱うとされているけれど、象は人間以外で(そして絶滅したネアンデルタール人以外で)唯一、「骨」に対して儀式を行うことが目撃された種である。象は太陽光によって漂白された骨や死後何年も経過した象牙のそばを通る際、通常とは明らかに違う方法で、何か興味深いものを探し当てたときと同じように、鼻を使ってそれらをじっくりと調べたりするのだと...
ということで、僕(生まれてからずっと都会で暮らしている男)の動物に関する知識は、ずっと動物を追いかけながら成長し、狩りをしつつ暮らしてきた人達に比べて基本的にゼロだというアネットの考えは、たぶん間違ってない(でも人間以外の動物との接触はゼロだという新事実には納得していないので、ロンドンに帰ったら猫を飼おうと思う)。
だから、シャーマンが動物になりたがるのには別の意味があって、それは動物の魂に対して 殺生 の許しを 乞うことなのだ。僕からすれば、これはいくらか矛盾しているように思える。 「動物になるという目的の一つに、罪悪感の軽減があるってことですか?」と、僕はその点をはっきりさせたくてアネットに聞いた。 「まあ、動物は私達の親族であるみたいな認識ね。彼らはあなたの 親戚 であり、人間と動物は継続的な契約を結んでいる。狩猟は彼らとの協定のようなものよ。鹿があなたに身を委ねて殺されるためには、正しい振る舞いによって敬意を払わねばならない、それはつまり、 供犠 を 捧げるってこと。あなただって自分の役割を果たさなければならない。でも、人間ってそれをやっていないわよね」
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