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• だが暖炉の火の燃えることはしだいしだいにまれになった。泣いたり甘えたりしたって、名づけ親に取り入ることはできなかった。アウグスツスが十二歳になった時、名づけ親のへやで魔法のように天使の飛ぶ姿は、もう遠い夢になってしまった。夜、それを夢にみることがあると、彼は翌日は二倍も乱暴に騒々しくなり、自分が大将になって、はめをはずして多ぜいの仲間を引きまわすのだった。 　母親
• 彼の魂はあの老人とともに消えてしまったように思われた。ほれ
• 聞く者はすべて、喜び、あるいは苦しみをもって、自分の愛するものや憎むものを思い浮かべた。少年は遊戯を、青年は恋人を、老人は死を、というふうに。 　
• ある朝、いおりの中にひとり目をさました。どこをさがしても呼んでも、師匠の姿は消えてしまっていた。一夜にしてにわかに秋が訪れたようだった。きびしい風が古いいおりをゆすぶり、まだその時期でもないのに、山々の背を越えて、渡り鳥の大群が飛んだ。 　そこでハン・フォークは小さい琴をたずさえて、故郷の国へ下った。行き会う人は彼に、老人や貴人にふさわしいあいさつをした。生まれた町にはいると、彼の父も婚約者も親類も死んでしまっており、彼らの家には別な人々が住んでいた。しかしその晩、川の上で 灯籠 祭りが祝われた。詩人ハン・フォークは、向こうがわのひとしお暗い岸に立って、老木の幹にもたれた。彼が小さい琴をひきはじめると、女たちはため息をついて、うっとりとして、切ない思いで、やみを見つめた。若い男たちは琴の主を...
• 私の父は、学者だったので、音楽のことはあまり心得ていなかった。息子は小さい笛を吹いていさえすればよいのだ、それでもう満足しているのだ、と父は考えていた。私は、父がそう思いこんでいるのをぶちこわしたくなかったので、お礼を言い、笛をふところに入れ、いとまを告げた。 　自分