Top Highlights

• 　私の色は、青です。空も、風も、青で表現できます。黄昏の森。 梢 の先端が含むのは、かすかな青です。
• ずっと後になってわたしは思ったのだが、母のためといっても、容器に入った母は何も見ることはできないのだから、〈美しい容器に入った美しい母〉を眺めたいという父自身の望みによるものだったのではないだろうか。
• 知覚消滅用の音楽を脳につくらせるための処置がいる。ごく小さい何かを脳の特定の箇所に挿入することによって、脳の内部で音楽が発生するのだそうだ。
• 甘美な夢をみながら死ぬって言われていますけれど、装置をとめられたら、いくら知覚が消滅していたって、みるのは悪夢にちがいないわ。
• あるとき、鍵穴のむこうで、盛装した母が男と踊っていた。母の躰はしじゅう男を突き抜けていた。自分のほうが影だと母は錯覚しなかっただろうか。