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裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル (ハヤカワ文庫JA)
www.amazon.co.jp/dp/B06WW74Q43
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少しウェーブのかかった金髪。鼻筋の通った顔立ち。色白で滑らかな肌。手足は長くて、服の上からでも一目でスタイルがいいとわかる。着ているのは首元までジッパーを上げたオリーブ色のジャケットに、ジーンズと編み上げのブーツだ。
色は白。タバコの煙を思わせる濁った白。 その白くてひょろりとした人影が、水に浸かった草むらの中に立って、身をくねらせている。踊っているのか、苦しんでいるのか、くねくね、くねくねと。
朝、目が覚めて、忘れかけた夢を思い出そうとする感じに似ている。確かに憶えていたはずのことを、もう少しで思い出せそうな、もどかしく、頭の芯をいじめる
目の前に広がるのは、夕暮れの廃屋。天井も壁紙もぼろぼろで、ガスコンロも流し台も黒く汚れきっている。埃の積もった食卓の上には、すっかり褪色して読めなくなった電気代や水道代の請求書が散らばっている。
何軒か先のパチンコ屋のドアが開くたびに、玉がじゃらじゃら触れあう音が大きくなる。そうだ──〈裏側〉にないのはこれだ。人の声も、車のエンジン音も、電子機器のかすかな唸りも、あそこにはない。風が草木を揺らす音と、ときおり何かの鳥か虫のような声がするだけで、人の活動を示す音が何もない。
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