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大学入試問題で読み解く 「超」世界史・日本史 (文春新書)
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一一世紀にトルコ人が作ったイスラム王朝であるセルジューク朝が東地中海沿岸に進出して、エルサレムを支配下に置き、さらにアナトリアに進出したので、ビザンツ(東ローマ帝国)の皇帝は教皇ウルバヌス二世に救援を求めました。これを受けて、エルサレムはイスラム教の聖地でもありますが、キリスト教の聖地でもあるので、ウルバヌス二世は一〇九五年にクレルモン宗教会議(公会議)で聖地回復のための聖戦を提唱します。そして、翌年、第一回の十字軍遠征が始まります。遠征は一三世紀まで続き、主なものだけでも七回の遠征が行われました。 問題
問題の十字軍遠征が「ヨーロッパ社会に与えた影響」についてですが、大きく分けて三つが考えられると思います。 第一は政治的な影響。当時、ヨーロッパ世界はキリスト教によって支配されていて、教皇─王─諸侯のヒエラルキーで統治されていました。十字軍によって、力が衰えたのは、てっぺんの教皇といちばん下の諸侯です。すると相対的に王が浮上してきます。聖戦の号令をかけたのは教皇ですが、実際に諸侯を動員して、十字軍を組織したのは、各地の王です。これによって、教皇の有名無実化が進み、王の権力が伸張しました。動員された諸侯は、度重なる遠征で疲弊していきました。 諸侯が弱っていったのは、第二の経済的な影響によるところも大きい。それは東方貿易の発展による、ヨーロッパ世界への貨幣経済の浸透です。十字軍遠征によって、ベ...
宗教改革の核心は、神と人はローマ教会を媒介としなくても、聖書を通して直接対話できることを説いたことです。これはローマ教会からしたら、とんでもないことですよ。それまでは、神の言葉や教えには、ローマ教会を介してしか、触れられないことになっていました。神と人が直接対話できることになったら、ローマ教会は権威を保てなくなるばかりか、その存在理由がなくなってしまいます。実際、ルターやカルヴァンらの宗教改革を支持した人々は、ローマ教会とは異なる教会を作り、異なる宗派を形成していきます。それらは「プロテスタント」と呼ばれています。 ルターが唱えたような思想を突き詰めていくと、世界は神と人だけになって、天皇の前では臣民はみな平等だという一君万民思想のように、神の前では人はみな平等だ、という思想が出てきます。...
もう一つ決定的に重要なのは、ルターが聖書をドイツ語に翻訳し、当時の最先端技術である印刷術によって頒布したことです。それまでの聖書は主にラテン語で書かれていて、庶民が読むことはできませんでした。ラテン語を読めるのは、聖職者をはじめ教育を受けた一部の人に限られていたからです。神の言葉に触れるためには、ローマ教会の解釈を鵜呑みにするしかなく、神と人の媒介となるローマ教会を取っ払うことは無理でした。つまり、ルターは人が神の言葉に直接触れ、人と神が直接対話することを技術的にも可能にしたのです。 また、ドイツ語で聖書を読む共同体を創始したことは、普段話している言語を共有しているがゆえに同じ「民族」であり「国民」だという意識を高めることとなり、後の国民国家の創生に大きく寄与しました。
の近代史をあらためて振り返ってみて思ったのは、アメリカの原型のような国であることです。スイスのジュネーブもそうでしたが、オランダには、スペインやフランスといったカトリックの勢力が強い国にいられなくなったプロテスタントが、民族や言語を問わずヨーロッパ中から集まってきました。そのため狭い国土に知的な集積が起こった。グロティウスやスピノザ、デカルトは、そんな環境で刺激を受けたからこそ、才能を開花させることができたのではないでしょうか。 第二次世界大戦によって、ヨーロッパの一流の知性や芸術家が大挙して、アメリカに移動し、東海岸や西海岸に集い、様々な分野で非常に大きな革新が起きました。同じことが一七世紀のオランダでも起きていたように思うのです。 そうでも考えないと、オランダがスペインやポルトガルを...
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