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世界史を動かした思想家たちの格闘
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「アイヒマンは有罪か?」 「国家の法」の上に世界共通の自然法があると仮定すれば、自然法と矛盾する「国家の法」は無効となり、法に従う義務は消滅します。オランダにおけるフェリペ2世の統治権否認決議にある「法と道理」とは自然法のことです。オラニエ公の行動は、スペイン王国の法に照らせば有罪ですが、自然法に基づけば無罪。アイヒマンの行動は、ドイツ第三帝国(ナチス国家)の法に従ったものでしたが、 自然法に基づけば有罪、となります。
自然(神)が万人に保障する権利が人権(自然権)であると。ここから、人間が政府を樹立し法律を制定した目的は、人権を保障するためである、という考えが生まれます。
トマス・ジェファソンが起草した、この格調高い「アメリカ独立宣言」(1776) や、その影響を受けてラ・ファイエットが起草した「フランス人権宣言」(1789) に明記されている人権の具体的内容を見てみましょう。 ・殺されない権利(生存権) ・奴隷にされない権利(自由権) ・差別を受けない権利(平等権) ・財産を奪われない権利(所有権) ・幸福を追求する権利 これらの権利を 脅かす「国家の法」は無効となり、また無効とするために人民が立ち上がったこと(アメリカ独立革命やフランス革命)は正しいのであり、「国家に対する抵抗権」も人権の一つなのだという思想です。日本では明治初期の自由民権運動のときに福沢諭吉や 植木枝盛 らが「 天賦人権思想」として翻訳、紹介しました。 しかし、日本の歴史には(信長の...
自然を神々として祭る多神教の伝統を持ち、キリスト教がついに根付かなかった日本社会に、一神教的な「神の法」に基づく人権思想を植え付けるというのは、木に竹を 接ぐような無理な話だったのです。 それでは日本国憲法が公布される前の日本社会では、人権は完全に無視されていたのかというと、決してそうではありません。日本は、ギリシアには及ばないものの、西欧諸国に匹敵する長い歴史を持つ国です。その長い歴史の中で、国家権力の横暴を防ぎ、人々の幸せを確保するための慣習法を 育んできたのです。たとえば鎌倉幕府が制定した御成敗式目では、守護・地頭による勝手な徴税を禁じ、奴隷売買を制限する規定もあります。
ローマ帝国も、古い時代には元老院のメンバーである300人の貴族の合議制で国家を運営していました。のちに領土拡大と貧富の格差の増大に伴い、平民から熱狂的な支持を受けたカエサル、オクタウィアヌスなどの軍人政治家が台頭して、帝政(軍事独裁体制)を樹立します。帝政時代に生きた元老院議員タキトゥスは、元老院が治めていた 古 のローマを理想とし、北方の蛮族ゲルマン人の社会に、それと似たものを見出して共感していたわけです。 熱帯アフリカやニューギニア、アマゾンなどのいわゆる未開社会においても、独裁者が存在せず、部族のメンバーの合議制によって物事を決定していることが一般的なようです。
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