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• これまでも、豪族の大土地所有により土地を失った農民が流民化し、社会が不安定になったため、土地の所有を等しくしようとする政策は、何回か試みられた。しかし、それらはすべて失敗している。 周 の 井田 制 をモデルとする、前漢の 哀帝 の限田制、 新 の 王莽 の王田制などがそれである。いずれも豪族の大土地所有を制限し、その土地を貧民に分配しようとするものであった。しかし、支配領域の有力者を殺して財産を分配すれば、統治が流動化する可能性があり、そもそも殺せる保証もない。 　そこで曹操は、豪族や名士の持つ大土地には手をつけず、戦乱で荒廃し放棄された土地を整備して流民を呼び寄せ、 種籾 を与え、 耕 牛 を貸して、かれら自身に 稼がせ、その収穫の六割を税として徴収した。社会が不安定である理由は、大土地...
• 荀彧の分析によれば、袁紹は、 ① 唯才主義の人事を行なわず、 ② 決断力に欠け、 ③ 法術主義を 採らず、 ④ 議論ばかりを好む能無しを集めたことになり、官渡で敗退したことも必然に思える。しかし、敗者の側から歴史を見れば、平時であれば称えられたはずの、袁紹の安定した支配が見えてくる。 　袁紹は、 ① 名士の意向を尊重する人事を行ない、 ② 名士の意見を広く聞き、 ③ 儒教に従い、 ④ 名士の名声を尊重したのである。立派な君主と言えよう。
• 尚書 令［内閣官房長官］
• 蜀漢では政治の中枢である 尚書 系統を中心に、重要な官職を荊州名士が独占していた。 幽 州 出身の劉備が益州に建国しながら、荊州出身者が優越しているのは、諸葛亮が自分の政治基盤として荊州名士を優遇したためなのである。
• 劉備が崩御した後には、諸葛亮は、益州名士を蜀漢名士社会に参入させることにより、益州名士の抜擢も開始する。その結果、「益州は諸葛亮がその時代の役に立つ人物の才幹をすべて出し切ったことに敬服した」と伝えられるような高い評価を受け、益州名士の 張 裔 に公平な政治を称えられるほど、益州支配に成功する。