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聖書を読む (文春文庫)
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この人間の創造のところで見落とし勝ちなのは、神様が「我々」と言っていることですね。ユダヤ教でもキリスト教でも、神が複数であるわけはない。 中村 ほんとだ。気がつかなかった。すると、一神教じゃないのか。 佐藤 ここが大変な謎になっているんです。神が自分のことを一人称複数で「我々」と語る箇所は何カ所かあります。天国の宮廷で天使たちに語りかけるとき、それから自分を非常に重視して言うとき。後者は修辞的用法で、「尊厳の複数」という言い方があるんです。さらに神様は、細かくいろいろ考えて熟慮するときも複数形になる。 中村 どういうこと? 細かくいろいろ考えて熟慮するって。 佐藤 人間を造ろうとして、よくよく考えるわけです。こういったものを造っていいものなのか、どういうふうに造ればいいのかと。我々だ...
中村 魔術が合理的なの? 佐藤 魔術は科学と一緒です。 中村 魔術といえば錬金術でしょ。その歴史から考えても、非合理性の象徴みたいな印象を受けてしまうんだけど。 佐藤 確かに魔術は、最初のステージではぶっ飛んでるけれども、その秘法に則して、それなりの資格を持った魔女なりが決められた通りにやると、いつも同じ結果が出るんですよ。これは呪術の部類ですが「丑の刻参り」にしても、丑の刻に藁人形を神社に持っていって、呪う人が自分の頭にロウソクを括り付けて藁人形に五寸釘をコンコンと打ち込む。こいつを七日間続けたら、それが呪う相手に対して確実に効果をもたらすという構成になっているわけですよ、誰がやっても。 中村 呪われた当人は気持ち悪いもんね。お百度参りも魔術みたいなものだ。いつしか本人がその気に...
中村 人類最初の女性はリリスだったという伝承というか、説があるんです。「創世記」の2章でアダムのあばら骨からエバが生まれるのに、すでに1章で名前なしの女が生まれてるでしょ。この最初に創造された女性の名がリリスだという説。そのリリスがなんでエバに取って代わられたのかというと、セックスのときリリスは自分が上になろうとした、つまり女が主導権をとろうとした。 佐藤 その話、イザナギ、イザナミに似てますね。 中村 そうそう。子作りに際して、先にイザナミのほうから声をかけちゃったと。 佐藤 そこから生まれてきた 蛭子 も、その後に生まれた淡島も、ふにゃふにゃして骨がない。 中村 だから、もう一回やり直さなきゃいけなくて、今度はイザナギが主導権をとったらちゃんと生まれた、というのが『古事記』なん...
神様が、裸であるのを恐れたアダムを呼んで 責すると、アダムは「女がくれたので食べたのです」と言い訳をする。神に呼ばれた女が「蛇にそそのかされたから」と言うと、神様は蛇に罰として「生涯、這い回る」ことを科し、女には「苦しんで子を産むこと」、そしてアダムには「食べ物を得ようと苦しむこと」を科す。さらに神様は「人は神と同じく善悪を知り、永遠に生きるおそれがあるから」との理由により、アダムをエデンの園から追放する──。
中村 結論が出ないというのは、問題の設定の仕方が間違ってるということにならないですか? 佐藤 その可能性はかなりあります。そこのところを深く考えたのがルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン(一八八九-一九五一)で、「善か悪か」なんて命題はナンセンスであると(笑)。人間に考えられるのは合理的な命題だけであって、すべては論理と記号で完璧に説明できる──初期のウィトゲンシュタインはそう考えたんです。ところが後期になると、自分は間違えていたと。 中村 完璧に答えの出ない問題もあるかもしれないって? 佐藤 そうなんです。では、真理はどこに埋め込まれているのか? それは日常言語の中だと。我々が普通に話してる言語の中に、ありとあらゆる思想や矛盾がすべて埋め込まれており、そこに真理もある──要するに、徹...
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