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能の読みかた (角川ソフィア文庫)
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翁は、どこか遠いところからやってくる祖霊の姿であって、その時だけは、 現世 と常世とが、劇的に結ばれたのに違いないからである。
能の舞台には、左手の奥に向かって、長い橋が架かっている。これを「 橋懸り」というのだが、だからといって、役者たちが 橋を通って、舞台に出てくると思ってはいけない。 あれは、あの橋懸りだけが橋なのじゃなくて、舞台全体がそもそもまるごと「橋」なのである。
西洋の舞台空間と、似て非なる点は、まさにこの「 天 の浮き橋」であるという、舞台の 形而上 的な意味にある。 舞台の上の、または舞台の傍らの、ほとんどすべての樹木は、神の 依る場所である。松も桜も柳も、その限りにおいて変らない。
その一回が、真剣勝負なのだ。役者は、日頃から訓練を積み、いつでも演能に応じられるよう、備える義務がある。それが本当のプロフェッショナルである。 能は、だから、本読み、立ち 稽古、舞台稽古、リハーサル、なんて 迂遠 なことは一切しない。「申し合わせ」といって、流儀を異にする各役が集まって、たった一度だけ、あっさりとおさらいをし、ここはこのあたりで、あそこは、この 節 遣いで、と、申し合わせて、いきなりぶっつけ本番である。しかも、シテから 地謡 に至るまで、全員が暗記で演じる。本を見ながら歌ったりする、 長唄 や 浄瑠璃 などとは、全然違うのがこの点である。
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