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実存と構造 (集英社新書)
www.amazon.co.jp/dp/B010FB5I3W
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実存と構造。 これら二十世紀を代表する二つの思想はコインの表と裏のような関係にある。 封建的な制度の中で奴隷のように社会に縛りつけられていた人間の精神を一挙に解放したのが実存という考え方であったのに対し、解放され自立したように見えている人間の精神も実は一定の機能をもった見えない枠組によって支えられているのだというのが構造という考え方だ。
元気よく前向きに生きようと思っている時は、実存という思考モデルが推進力になるが、少しへこんだような時には構造という思考モデルが慰めになるし、そこから態勢を立て直して、もう一度、前進することもできる。
きたのだ。 わたしたちの人生も同様である。親族社会や地域社会という構造の中で少年時代をすごした若者が、やがて家族や地域社会を離れ、孤独な実存として社会に出ていく。しかし何かの困難に直面した時に支えとなるのは、家族であったり、郷里の親族であったりする。
パスカルの名を不朽にしたのは、神学論争の中で発表された論文ではない。発表する意思もなく気まぐれに書き 綴ったノートが、没後、 甥 の手によって公表された。『パンセ(思考)』と題されたその思索の断片を集めた書物の次の一節によって、パスカルは実存主義の元祖と呼ばれることになる。 「人間は自然の中で最も弱い一本の 葦 でしかない。しかし人間は考える葦である。人間を倒すのに宇宙は武器を必要としない。一陣の風、一滴の水が、人間の命を奪う。だが宇宙が人間を倒す時、人間は宇宙より高貴である。なぜなら人間は自分が限られた命しかないことを知っている。自分の無力と、宇宙の偉大さを知っている。宇宙は人間について、何も知らない」
この言葉には、世界を敵に回してでも認識しようとする実存の強い意志と、孤独で無力な弱さとが、見事に共存している。「考える」という意志と能力をもっていながらも、一陣の風によって滅ぼされる弱さを兼ね備えた「葦」のごとき存在、それが実存としての人間なのだ。
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