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アイの物語 (角川文庫)
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それからの六日間は、私にとって最も長く、最も心ときめく六日間だった。次の日曜日のことを考えると、勉強中も気もそぞろで、家庭教師の声も耳に入らなかった。
初めてのナンパ、初めてのデート、そして初めてのYグレード──私にとって何もかも初めての体験だった。 このうきうきした感情が恋なのかどうか、自分でもよく分からない。何しろ恋などしたことがないのだから。単にシチュエーションに浮かれているだけなんじゃないの、と私の中の冷静な部分がささやいている。そうかもしれない。いくら何でも、一度会ったきりで、まだろくに知りもしない男性を好きになるというのは、早すぎると思う。
私にはそんな原理などどうでも良かった。私にとってノンマルスは、窮屈な現実から私を解放し、自由な別世界へと導いてくれる魔法の帽子なのだ。
「水海ちゃん?」 私はおそるおそる顔を上げた。 「昴さん……ですね?」 彼の顔は見えなかったけれど、驚いて息を飲む雰囲気は感じられた。 「あの……君、もしかして……?」 「はい。そうなんです」 彼の驚きをやわらげようと、私は努めて明るい顔をしてみせた。数秒の沈黙ののち、彼が私の隣に腰を下ろすのが感じられた。 「……気がつかなかったなあ」 「ごめんなさい。 騙すつもりはなかったんです。本当のことを言うべきか悩んだんですけど、やっぱり、あなたとおつき合いするのに、噓はつきたくありませんでした。だから、なるべく早く、本当の私を知っておいてもらおうと思って」
「昨日の物語のテーマは何だ?」 「『勇気』でしょうね。主人公が勇気を奮い起こして難関を乗り越える。古典的なパターンよ」
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