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インドでわしも考えた
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インドに行くことになった。毎度ながら別にたいしてスルドイ目的意識やテーマというものはない。それじゃあこのへんでそろそろインドへ行ってみましょうか? うーんそうですなあ、というような程度である。しかしインドという国はこの程度の意識と態度ではたちまちインド研究家およびインド崇奉派および印度的瞑想思索人およびインド哲学放浪者およびヒンドゥ教を邪教から守る会および東インド解放戦線地むぐり砂けむり派等々からさまざまな批難指弾のひとかたまりを浴びそうなこころもとなさ、というものがある。
考えてもわからないところがいかにもインドらしいのかもしれない。そこでしようがないから一つの方針をもった。インドに行くにあたってインドの本を読んだり最新情報を聞いたりガイドブックを読んだりするようなことは一切やめよう、ということにした。インドに対して何も問題意識をもたないかわりに何も予備知識をもたずにまっさらな気持で立ち向かおう! と思った。せめてそれだけが目下のオレにできることなのだ!
ホテルはタージインタコンチネンタルといってボンベイで一番美しいホテルです。昼食過ぎにツーリストオフィスのガイドが訪ねていきます。日本語のできるガイドです」と、その青年は言った。
「ボンベイの人口は八百万人です。ボンベイはカルカッタにつぐ二番目に大きい町です。インドの税収入の三十五パーセントはボンベイからです。ここは一番大きい工業の町です。一番大きい工業は織り物です。その織り物は木綿です。でもボンベイは今雨降りません。これ問題。今でも降らないね。大変問題。このことわかるか」
ボンベイの洗濯屋広場というようなところだった。広場といってもよく見ると物干しロープの下はドブやゴミ捨て場のようになっている。洗濯屋はカーストの中ではかなり下層のようで、住居はトリ小屋のようなところだった。この人たちの洗濯方法はまことに単純で、石 鹼 をつけた洗濯物をマサカリのようにふり回し、大きな平べったい石にべたんべたんと何べんも叩きつけるだけである。そうしてこれらの人々はもう先祖代々こうやって洗濯屋としてべたんべたんとやってきたのだ。まっ黒けになって親たちの仕事を見ているその子供もやがてまたべたんべたんとやっていくのである。洗濯代はアイロンまでして百枚で六十ルピー。一ルピー二十五円だから邦貨で千五百円だ。大変な低料金である。
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