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海洋帝国興隆史 ヨーロッパ・海・近代世界システム (講談社選書メチエ)
www.amazon.co.jp/dp/B00R3MUUJY
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アメリカの著名な社会学者イマニュエル・ウォーラーステイン(一九三〇~) が『近代世界システム』の原著第一巻を上梓したのは、一九七四年のことであった。やがてこの書物は、賛成反対を含め、大きな議論を巻き起こすことになった。現在では、「近代世界システム」という用語は、日本の世界史の教科書でも使われるほど、人口に 膾炙 した言葉となった。
インターステート・システム
ヘゲモニー国家とは、工業・商業・金融業のすべての面で他国を圧倒する国をいう。歴史上、ヘゲモニー国家は、オランダ、イギリス、アメリカの三つしかない。『
ウォーラーステインの論にもいくつもの問題点がある。おそらく最大の問題点は、産業資本主義の理論によって近世(一六~一八世紀) から現代までを一貫した歴史として叙述しようとしたことであろう。産業資本主義とは、国内総生産(GDP) に占める工業の比率が他の産業よりも明らかに高くなった時代の資本主義のことである。早くとも一九世紀初頭のイギリスまで、そのような国は世界に存在しなかった。近世においては、国内総生産に占める工業部門の比率は、かなり低かったと考えられる。 どの産業部門が重要かは、時代と地域によって変わる。近世のヨーロッパは国際的経済競争の渦中にあり、それに勝ち抜くためには、総コストのなかでもっとも高い比率を占めたと考えられる輸送コストの削減こそが何よりも重要なことであった。
ポルトガルの対外的拡張は、国家が主導したのではなく、商人がみずから組織化し、自発的に海外に出て行ったために生じたとされる。それに対しイギリスは、国家主導型の経済成長を遂げ、さらにヘゲモニー国家として、世界政治・経済上の約束事であるゲームのルールをつくり、それを他国・他地域に押しつけようとし、実際、それに成功した。この二国の政治システムは、まったく違っていた。イギリスは、他国をみずからのコントロール下に置くことにかなり成功したが、ポルトガルにはそれができなかった。むしろ、そういう意志はなかった。イギリスの帝国主義的拡大が国家の主導であったのに対し、ポルトガルの場合、商人が自発的に海外に出て行ったからである。
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