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ドン・キホーテ 後篇三 (岩波文庫)
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フランスの学者ポール・アザールの言葉は、このあたりを的確にとらえている「世界の文学史を通じて、これほど豊かな創造力と、これほど断固たる批評能力を兼備した作家を見出すのはむずかしい。彼は自分が創造した作中人物に、その誕生と同時に素晴らしい洞察力を与えるので、人物たちは行動するだけでは満足せず、行動するおのれを観照し、かつ審判する。これが彼の独創的な天才の特徴の一つである。」
換言すれば、『ドン・キホーテ』一 を読む喜びは、延々と続く会話のなかに、われわれ自身の言葉のエコーを、そして、その可能性を聞きとるところにある。陳腐な、しかし正確な言い方をすれば、そこに人間の真理を(われわれにとってつとに 馴染みの真理ばかりでなく、心の奥に潜んでいて頭をもたげてくる真理をも) 聞きつけるところにあるのだ。
なるほどサンチョと公爵夫人からの手紙は読ませてもらったものの、なんだか 狐 につままれたような感じがしてならない、そもそもサンチョが島の領主になったとは一体どういうことなのか、ましてや地中海にあるすべての島は、あるいは大半の島は国王陛下の領有されるところだというのに、どうしてそんなことがありうるのか、どうしても合点がゆかぬ、と言い添えたのである。
「さあ、皆の衆、道をあけておくんなさい。そして、昔の自由な生活に戻らせておくんなさい。どうかわしをこの生き地獄から抜け出させ、昔の暮らしを探しにいかせてもらいたい。わしは領主になったり、攻め寄せてくる敵から島や 市 を守ったりするために生まれてきた男じゃねえ。わしには法律をつくったり、国や地方を治めたりするよりか、 鍬 や 犂 で畑を耕したり、ぶどうの木の刈りこみや取り木をしたりすることのほうが、よっぽど性に合ってるよ。《サン・ピエトロ寺院はローマにあってこそ光り輝く》、つまりわしの言いたいのは、人はそれぞれ生まれに合った仕事をするがいいってこと、わしの手には、領主の権威のよりか、鎌のほうがおさまりがいいってことなんだ。それに、わしを飢え死にさせようとしている 性悪 な医者にけちなものをあ...
まったくの話、領主という重荷を背負いながら、上等のオランダ布のシーツにくるまって寝たり、 黒貂 の衣装を身にまとったりするより、夏は 樫 の木陰で寝そべり、冬には厚手の羊の毛皮を着こんで、自由に、勝手気ままにしてるほうがよっぽどありがたいさ。まあ、お前さん方は、ここで楽しく暮らすがいいよ。
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