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ドン・キホーテ 前篇三 (岩波文庫)
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すると改宗者が猛然と反対し、全員がそろって自由になるのでなければ、誰か一人だけが自由の身になって出ていくことには、どうしても賛成するわけにはいかないと言いました。というのも、経験が示しているように、人間はいったん自由の身になると囚われの身だったときにした約束を平気で 反故 にしてしまうからである、例えば、これまで何度も、高貴な身分の捕虜たちが同じような策を講じて一人の男の身請けをし、彼らを迎えにくるための船の装備をととのえるのに十分な金を持たせてバレンシアやマジョルカ島にやったけれど、身請けされた者が戻ってきたためしがない、おそらく自由を手にした喜びと、ふたたびそれを失うのではないかという恐れが、人間の 脳裡 から人の世の責任や義務を 払拭 してしまうのであろう、というのが改宗者の論拠でした...
結局のところ、改宗者の言うところによれば、この際なしうること、またなすべきことは、われわれの一人をあがなうために渡されるはずの金を彼に託し、彼がテトゥアンとその周辺の港で貿易をする商人になるという口実のもと、当地アルジェで一隻の船を購入することでした。
彼がいったん船主になってしまえば、われわれ全員を《浴場》から連れ出して船に乗せるための策を巡らすことは、それほど困難ではなかろうと言うのです。しかも、モーロ娘がその言葉どおりに、われわれ全員の身請けが可能になる身代金をくれるとするなら、皆が自由の身になれるのだから、そうなれば船に乗りこむのに何の問題もなく、それこそ白昼堂々とすることさえできよう。
わたしは文官の道を進み、刻苦精励のすえ、神の御心により、ごらんのような職につくことができました。
次男はペルーに渡り、そこで大成功を収めて大金持になり、これまでに父親とわたしに送ってよこした金だけでも、彼がかの地に持参したものを償ってあまりあるほどです。実際それは大変な額にのぼりましたので、それでもって父親は生来の気前のよさを十分に発揮することができ、わたしのほうも、経済的な不安から解放されて心おきなく学問に没頭することができました。おかげでこのような地位にまで達することができたのです。
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