Home
My Highlights
Discover
Sign up
Read on Amazon
いまを生きるための思想キーワード (講談社現代新書)
www.amazon.co.jp/dp/B009I7KMWW
Import Your Kindle Highlights to Glasp Today 📚
Top Highlights
「歴史」を意味するドイツ語の〈Geschichte〉、フランス語の〈histoire〉、イタリア語の〈storia〉、スペイン語の〈historia〉には、「物語」という意味もある。英語では、「歴史」が〈history〉、「物語」が〈story〉、と一応分かれているが、語の作りから分かるように、両者ともギリシア語の〈historia〉が語源である。〈historia〉の原義は、「探究」もしくは「探究によって得られた知識」である。
近代ヨーロッパで、「歴史」と「物語」が概念として明確に分離されるようになったのは、一八世紀に入って、啓蒙主義が浸透し、過去についての客観的記述が次第に重視されるようになってからだとされている。想像や願望、信仰などを交えないで、起こったことをそのまま再現することが、科学的・理性的であると見なされ、そのため学問としての「歴史学」が形成されてくる。 そうした学問的な「歴史」観の成立と連動して、「歴史」は、単なる過去の出来事の寄せ集めではなく、一定の──自然科学の法則に似た──法則に従って、最終的な「目的=終焉 end」へと向かって着実に発展し続けているという、歴史哲学的な見方が生まれてきた。「歴史」には、予め定められた「目的」があり、その実現を目指して、歴史は先へ先へと進んでいる。「目的」が本当...
一人一人に宿っている理性の開化によって、科学・技術が発達し、法・政治の制度は整えられ、社会は「進歩」するという前提の下に、人々を無知の闇から解放しようとする啓蒙主義である。啓蒙主義から生まれてきた「進歩」の思想は、多くの場合、進歩によっていつか全人類にとってのユートピアが実現する、あるいは既に実現している、と想定する。そのユートピアが、「歴史」にとっての「目的=終焉」である。
キリスト教には、人類の歴史は、神と悪魔、善と悪の闘いの歴史であり、神の勝利によって歴史が終わり、信仰のある者は救われ、神の国の市民になれる、という独特の歴史観がある。啓蒙主義の時代に、キリスト教自体の影響力は著しく衰退したが、神が見えなくなった世界の中で、精神的な 拠り所 がなく不安を感じる人びとの深層意識の中で、神の王国的なものへの期待がむしろ高まった。…
フランスの哲学者リオタール(一九二四─九八) が、『ポスト・モダンの条件』(一九七九) で展開した議論がある。リオタールの議論もコジェーヴの影響を受けているが、ヘーゲル哲学に特別な位置を与えておらず、むしろ、普遍性を志向するヘーゲル的な歴史哲学に対して批判的なスタンスを取っている。そして、彼にとっての「歴史の終焉」は、「承認」をめぐる闘争に決着が付くということではなく、〝我々〟がこれまで「歴史」だと思っていたものが、もはや〝歴史〟として通用しなくなる、ということである。
Share This Book 📚
Ready to highlight and find good content?
Glasp is a social web highlighter that people can highlight and organize quotes and thoughts from the web, and access other like-minded people’s learning.
Start Highlighting