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夜市 (角川ホラー文庫)
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それなのに、この気持ちはなんだ? なぜ、青空に吸い込まれる、自分が打ったホームランを見て泣きたくなるんだ?
たった一つの取り柄でさえ、弟を売って買ったんだ。他の何ができる?
ぼくは天才ではなかった。ただ人より野球が少し上手い、それだけだった。加えて、ランニングも筋トレも、運動部の上下関係も好きじゃなかった」
「これでいいんです。ある日、ぼくは死のうと思いました。高校の時、つきあっていた女の子と喫茶店で午後を過ごしながら、ああ、もういいや、と思ったんです。なぜそう思ったかなんて口では説明できない。それは曇った冬の日のことで、その女の子は無口で無表情な人形みたいな美人だった。ぼくが何を話しても、うふふ、とか、すごい、とかそんな反応しか、かえってこなかった。タオルを殴るような手ごたえのないいつもの会話の中で、彼女はふといった。〈私の友達、野球選手としたことがあるのよ〉それは、プロ野球のなんとかという選手に、彼女の友達が偶然、沖縄の酒場であって、そのまま一晩を共に過ごした、という話だった」 「ねえ、
「その恋人には、ぼくの知る限り女友達と呼べるものは一人もいなかったし、何一つ信用できない子だった。でもその話はとても本当のようにきこえた。その子がその話をした瞬間、ぼくはその喫茶店も、その子も、その子が語るその友達も嫌いになった。でも、嫌だからって、変えられることじゃない。あるときにある場所で生まれて、そして誰かと出会うって、嫌だからって変えられることじゃないだろ? その日を境にずっと死を考えていた。生きていくのがひどく怖くて 億劫 になった」
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